勇退の東洋大姫路・藤田監督が伝えてきた人生訓「野球はいつまでも続くものじゃない」
東洋大姫路の藤田監督「母校のユニホーム姿で終われたことは最高の野球人生」
伝統のユニホームで采配を振るった指揮官は、ゆっくりとグラウンドを後にした。今大会で勇退する東洋大姫路・藤田明彦監督は、高知との初戦に2-4で敗れると、センター方向を見つめ「バックスクリーンですね。試合の結果が目に映った」と、敗戦したことを告げる電光掲示板を眺めていた。
第94回選抜高校野球大会の大会3日目・第3試合は全国制覇を経験している伝統校同士の一戦。大黒柱のエース・森健人投手(3年)が5回に4安打を集中され3失点するなど苦しい展開となったが、4点を追う8回には2点を返し、意地を見せた。
選手としても甲子園に出場し、今回で春夏通算8度、聖地で指揮を執った藤田監督は「感無量。17歳の時に初めて甲子園にきて。その時の思い浮かんだ。母校のユニホーム姿で終われたことは最高の野球人生。ありがとう」と、ナインたちに感謝の言葉を口にした。
1997年に監督に就任し、2006年に退任したが、2011年に再び復帰。計20年の監督生活では「我慢強くなるという。負けることで覚えるたことはたくさんあった」と振り返る。生徒たちに常々伝えてきたのは、野球だけじゃなく、その後の人生をどう生きていくかということだった。
「野球っていつまでも続くものじゃない。社会に出て、その時にここで学んだ諦めない精神を社会で発揮して、自分の人生の中で伝えていってほしいと祈っている」
14年ぶりの選抜勝利とはならなかったが、チームは春夏連続の甲子園出場を目指し、再び厳しい練習に挑むことになる。「東洋大姫路は春夏(連続出場)は過去に1回しかない。今年はチャンスがある。アルプスの方で応援したいなと思っている」。現場は離れることになるが、教え子たちの更なる成長を願っている。
(Full-Count編集部)