「日本一早いマジック点灯」はなぜ誕生? 阪神V&商店街の活性化を願う理事の思い

尼崎中央三丁目商店街の「日本一早いマジック点灯」【写真:橋本健吾】
尼崎中央三丁目商店街の「日本一早いマジック点灯」【写真:橋本健吾】

「尼崎中央三丁目商店街」では毎年恒例となっている開幕前のマジックナンバー点灯

 プロ野球開幕前の風物詩となっているのが「日本一早いマジック点灯」。阪神を応援する兵庫県・尼崎市の「尼崎中央三丁目商店街」が開催し、今年で20回目を迎える。恒例行事を支える同組合の寺井利一理事長は「少しでも明るいニュースを届けてもらいたい」と、思いを語る。

 阪神のセ・リーグ制覇を願い、2002年から始まった同行事。開幕前に公式戦の試合数と同じマジックナンバー「143」が点灯し、虎党たちは数字が減ることでVへのカウントダウンを確認する。

 生粋の阪神ファンで同組合の寺井利一理事長は「この街を、商店街を盛り上げるために、いいアイデアがないかと。ここまで継続することができて、全国の方々にも認知されてきたと思います」と語る。熱狂的なファンが集うだけに、これまで何度もイベントを辞めるかどうかを悩んだこともあったという。

 寺井理事長は飲食店「ノーベル商店劇場」を営んでいるが、過去には試合に敗れるとファンから「こんなのやってるから勝てない」「マジックの減らし方を教えてやる」など、心無い言葉を浴びせられた。それでも、根底にあるのは商店街の活性化。賛否が飛び交うなかでも「相当叩かれたこともありましたが、そこはグッと我慢してここまで続けれた」。

 2003、05年のリーグ優勝は全国の報道機関から取材依頼が殺到。阪神ファンが商店街を埋め尽くすなど大きな盛り上がりを見せた。昨年はあと一歩で優勝を逃しただけに「矢野監督も最後の1年ですし、今年はその悔しさを晴らしてほしい」と、歓喜の瞬間を心待ちにしている。

 本来なら「六甲おろし」の合唱や神事などで盛り上がりを見せるが、コロナ禍で2020、21年はひっそりとボードを設置。今年も密を避けるため事前の周知は行わないという。「大変な社会情勢やコロナ禍が続く中で、こんなことをやっていていいのか……と思うこともありますが、少しでも明るいニュースを届けてもらいたい」。地元の応援団も17年ぶりの優勝を後押ししていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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