「叩いて伸ばせ」1試合6本塁打の選抜タイ記録 大阪桐蔭・西谷監督の教え

大阪桐蔭・西谷浩一監督【写真:中戸川知世】
大阪桐蔭・西谷浩一監督【写真:中戸川知世】

甲子園を知り尽くす名将「引きつけて叩けばホームランになる」

 第94回選抜高校野球大会は28日、阪神甲子園球場で準々決勝が行われ、第4試合では春3回、夏5回の甲子園優勝を誇る大阪桐蔭が、市和歌山に17-0で圧勝した。大会タイ記録の1試合6本塁打と打線が爆発。西谷浩一監督は甲子園で春夏通算59勝目(春26勝、夏33勝)を挙げ、歴代単独2位となった(1位は高嶋仁氏の68勝)。

 まさに“横綱相撲”だった。初回に4番・丸山一喜(3年)の2点適時打で先制。5回には2番・谷口勇人(3年)がバックスクリーンへソロ、主将の7番・星子天真(3年)も右中間へ3ランを放った。6回には伊藤櫂人(3年)が左中間ソロ、代打・工藤翔斗(3年)が右翼席2ラン、さらに伊藤がこの回2発目となる左翼席2ラン。7回には海老根優大(3年)にも左中間への2ランが飛び出し、PL学園が1984年に樹立した1試合最多本塁打記録の6本に並んだ。

 西谷監督は「本来はそれほど本塁打を打てるチームではない。甲子園でしっかりミートすれば、気持ちが昂っている分、ホームランも出る。勉強になりました」と謙虚に振り返った。とはいえ、甲子園を知り尽くす名将。日頃から、広いフィールドでスイングが大きくなりがちな選手たちに「広い球場でも大振りせず、引きつけて叩けばホームランになる」と言い聞かせていた。人生初の1試合2本塁打を1イニングで放った伊藤も「西谷先生の“叩いて(飛距離を)伸ばせ”の教え通り、ヒットの延長線上で打ててよかった」と語った。

 その伊藤は1本目が出るまで、今大会7打席ノーヒット。試合前の練習でも調子は悪かったと言う。「試合ギリギリまでコーチと準備していた結果だと思います」と西谷監督。「試合前に橋本先生(橋本翔太郎コーチ)から、打席では迷いなく思い切って振っていこう、と言っていただきました」というのが伊藤自身の説明。能力の高い選手が揃っていることに加え、コーチを含めたスタッフのきめ細かいケアがあることも強さの理由だろう。

 PL学園が38年前に放った6本塁打には、現巨人投手チーフコーチの桑田真澄氏の2発、清原和博氏の1発が含まれている。西谷監督自身もこの試合の1勝で、かつてPL学園を率いた中村順司氏の甲子園通算58勝を抜き、歴代単独2位に躍り出た。指揮官は「当時のPL学園とは選手の顔ぶれが全然違うけれど、記録ができたことはよかった」と喜ぶ一方で「PL学園はずっと目標にしているチーム。中村さんの数字を超えたからといって、勝ったとは全く思っていません」と首を横に振る。

 昨秋は大阪府大会、近畿大会、各地区の王者が集う明治神宮大会を全て制し15勝無敗。この日も大量リードを奪った後でも気を抜く様子は微塵もなかった。「私が注意するまでもなく、キャプテン(星子)から声がかかっていました」と明かす西谷監督。30日の準決勝では初めて4強入りした国学院久我山(東京)と対戦するが、相手がどこであれ、今の大阪桐蔭を攻略するのは容易ではなさそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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