なぜ元大洋の盗塁王は「花栽培の講師」に? 癒し届ける引退後の“豊かな人生”

多趣味で忙しい元大洋・屋鋪要氏【写真:編集部】
多趣味で忙しい元大洋・屋鋪要氏【写真:編集部】

盗塁王3度、GG賞5度の屋鋪要氏、62歳の今ハマっているラベンダー栽培

 かつてプロ野球界最速といわれた韋駄天は、いまや多彩な“趣味人”として知られている。現役時代に横浜大洋(現DeNA)、巨人で外野手として活躍し、盗塁王に3度、ゴールデングラブ賞に5度輝いた屋鋪要氏。62歳になった今、一番ハマっているのはラベンダー栽培だそうで、カルチャーセンターで講師を務めているほどだ。

「ラベンダーの栽培は難しい。成功するとは限らない。だからこそ面白いのです」。屋鋪氏はトレードマークの髭を蓄えた口元をほころばせた。

 ラベンダーは種類が多く、栽培方法も様々。屋鋪氏は最多で140種類、少し減った現在でも80種類を栽培している。「2019年に濃紫早咲(のうしはやざき)という種類を知人から2株譲ってもらったのですが、育て切れずに枯らしてしまった。それがラベンダー栽培に熱中するきっかけになりました」と振り返る。現役時代同様の負けず嫌いが頭をもたげたようで、「翌年にも濃紫早咲を3株いただき、今度は勉強して、うまく育てることができました」とうなずいた。

 ラベンダーは茎を切り取って発根させる「挿し木」という方法で増やすことができる。育った株の一部を神奈川県横須賀市のゴルフ練習場に譲って植えてもらったところ、地元のフリーペーパーや全国紙で紹介された。さらにその記事の中で「希望者にお譲りします」と呼びかけると、予想をはるかに超える200通もの反響があった。老人ホーム、病院の入院棟、子ども支援施設などへも贈り、「誰かの癒しになればうれしい」と話す。

 自宅のほか、近所の公園でも許可を得て栽培。主な開花時期は5月末で、「種類によって11から12月に咲くものもありますし、四季咲き、二季咲きもあります」。今は剪定(間引き)に忙しい。「つぼみのうちに剪定しないと、養分を花に取られ、根、枝、葉の育ちが悪くなってしまいます」と説明する。ラベンダーの最大の魅力は何かと聞くと、「香りです。ドライフラワーにしてもずっと香っていますよ」。現役時代の闘志あふれる表情とは対照的に、穏やかな笑顔を浮かべた。

 よみうりカルチャー横浜校では月に2回、3か月単位で計6回のラベンダー講座を担当している。生徒数も多く人気で、4月22日には講座を飛び越え、トークショーも開催するほど講話が魅力と評判だ。講座では栽培方法、ラベンダーの歴史について語り、全国のラベンダー畑の紹介も行う。「僕は野球の指導に関しては、何百も引き出しを持っていると自負していますが、ラベンダーの経験はまだ浅い。みなさんと一緒に勉強させてもらっているところです」と謙虚だ。

4月22日にラベンダー講座から派生したトークショー、その他にも多趣味な屋鋪さん

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY