DeNAの改革を象徴した3つの「ワオッ?!」 三浦監督もご満悦「判断もよかった」
盗塁数は昨季リーグワーストの「31」→今季はすでにリーグ2位の「10」
最下位に沈んだ昨季のDeNA打線は、破壊力満点の長打を連発する一方、走塁は“各駅停車”で効率の悪さも目立った。今季はOBの石井琢朗野手総合コーチらを加え、小技と機動力を交えた攻撃へ舵を切っている。昨季リーグワーストの「31」に終わったチーム盗塁数は、今季は26日現在、早くもリーグ2位の「10」に上る。
最後の「ワオッ?!」は、5-4と1点リードして迎えた7回の守備。2死三塁の一発逆転のピンチで、初回にバックスクリーン弾を放っている岡本和を迎えた場面だ。マウンド上は、この回から登板した左腕の田中健二朗投手。申告敬遠も考えられたが、DeNAサイドは勝負を挑んだ。カウント2-0から内角低めのカーブで空振りを奪い、4球目も外角へカーブを続けて見送りストライク。さらに内角低めの速球でファウルを打たせ、外角低めのボール球のストレートを見せた後、フルカウントから外角低めのフォークを打たせ、三ゴロに仕留めた。試合の流れを決定づけたシーンと言える。
三浦監督は「あそこはランナーをためるより、勝負にいったほうがいいと考えた。カウントが悪くなれば無理に勝負する必要もないと思っていたが、バッテリーが両サイドをうまく使って抑えた」と説明したが、今季は春季キャンプの段階から投手陣に対し「ストライクゾーン内の“強い球”で勝負すること」を厳命している。
また、今季の岡本和はセオリーとは逆に左投手に弱い(試合前の時点で左腕に対し23打数5安打、打率.217。右腕には58打数19安打、打率.328)。そして次打者の丸は左腕に強い(33打数12安打、打率.364)というデータも頭にあったかもしれない。好守に昨季とはひと味違うところを示しているDeNA。コロナ禍で大量離脱していた主力も徐々に復帰しつつあり、上位進出のチャンスをうかがっている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)