イチロー氏に救われた元オリ助っ人の“感謝” 忘れられぬ16年前に掛けられた言葉

ジョーンズ氏は06年マリナーズのキャンプでイチロー氏に声を掛けられた
昨季までオリックスに2年間在籍したアダム・ジョーンズ氏が米スポーツメディア「プレーヤーズ・トリビューン」に寄稿。2006、07年にマリナーズで一緒にプレーしたイチロー氏との思い出を記した。19歳で参加した06年の春季キャンプで交わした会話や練習に取り組む姿勢が忘れられないという。
06年キャンプ。まだメジャー出場経験がなかったジョーンズ氏はショートからセンターにコンバートされた。ライトには既に揺るがぬ地位を築いていたイチロー氏がいた。隣で守るイチロー氏にどう声を掛けるべきか、悩んだという。
「まるで声を出せない感じだった。だって、そこに誰がいるか分かっていたから。心の内では『お前より上手い選手がいるんだぞ。イチローだ! 最高の選手がそこにいるんだよ』と思っていた」と当時の心境を明かしている。
そんなジョーンズ氏の胸中を察してか、イチロー氏の方から距離を縮めた。グラウンド脇に連れて行かれたジョーンズ氏は「あのな、捕れるなら声掛けしてくれよ」と言われたそうだ。さらに「お願いだから俺に向かって突進してくるなよ。俺にぶつかってくるなよ、OK?」とも。この言葉で「どれだけ楽になったか」とジョーンズ氏。「僕は笑ってうなずいた。万事解決した瞬間だった」とイチロー氏の配慮に感謝する。
練習でもイチロー氏から多くを学んだという。目的意識を持って取り組み、全てを正確にこなす姿が脳裏に刻まれた。その理由は自身がオリックスに入団して分かったそうだ。シーズン中も反復練習をこなす姿に日本の野球は「あらゆる部分を完璧に近いところにまで持っていくことが重視される」と理解した。
イチロー氏の練習は「日本野球の根幹に基づいているものだった」とジョーンズ氏。オリックスで改めて基礎練習に取り組めて「楽しかった」とし、異なる国の野球を学べたのは「本当に興味深かった」と記している。
(Full-Count編集部)
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