DeNA打線に見える「変化」 球団OB・齊藤明雄氏が語る“日本一打線”に似た特徴とは
本塁打より嫌な連打「ピッチャーは一番疲れる」
無駄なアウトを作らない攻撃は、1998年に日本一となった当時の打線も実践していた。投手コーチだった齊藤氏は、野手の主要メンバーにこんな話をしたことがあるそうだ。
「当時は1番・石井琢朗(現野手総合コーチ)、2番・波留敏夫(現中日1軍打撃コーチ)の2人でアイコンタクトを取って、出塁して盗塁したら三塁へ進めるというバッティングをしてくれていた。その後に3番・鈴木尚典(現打撃コーチ)、4番・ローズと続いて走者を返してくれる。鈴木や石井によく言ったのは『ピッチャーから見ると、この打線を相手に投げたくない。2アウトを取っても安心できないよ』ということでした」
どうして相手にしたくないのか。その理由を聞かれた齊藤氏は「連打連打で途切れない。ホームランだったら流れは一度切れるけど、連打は切れないからピッチャーは一番疲れるんだ」と答えたという。1つ前の塁を狙う姿勢や繋ぐ打撃こそ、相手投手が嫌がる打線。今季のDeNA打線も「ホームラン狙いではなく逆方向に打つバッティングができてきているし、ピッチャーから見て嫌なバッターは多いと思います」と話す。
その中でも特に注目しているのが、4番を任されている牧秀悟だ。1年目の昨季は打率3割、20本塁打をマークし、ルーキー史上初のサイクル安打も達成。今季は一時、新型コロナ陽性で戦列を離れたが、序盤のリーグ戦では打率.336、10本塁打、34打点の活躍でチームを牽引した。
「本来、4番はオースティンなんですが、手術で離脱していますからね。4番はエースと同じで、球団の顔とも言える存在。一番責任の重いポジションに2年目の牧を起用するにあたって、三浦(大輔)監督と打撃コーチとで話し合ったと思いますが、いい選択ですね。しっかり打てていますし、心配することはない。一番注目しています」