大谷翔平との対決に注目も…進化の87球 菊池雄星を支える“2つの変化”とは?
プレートを踏む位置を三塁側へ「横振りになりにくくなります」
今季の軸球は順回転のストレート。マリナーズでの3年間で球速と球威は増した。しかし、制球力には課題が残った。その元凶は体が横振りになりなること。メジャー4年目を安定させるために菊池が決断したのが、プレートの踏み位置の変更だった。
今季は三塁側へ足場を移している。
「スリークウォーター気味の僕が一塁側を踏んで投げれば、腕はボールゾーンにはみ出てからストライクゾーンへと投げることになります。この腕の角度になるから体の横降りを助長させるんですね。でも、こっち(三塁側)からだと、ホームベースの中で腕が振れるので、ストライクを取りやすいというか、横振りになりにくくなります」
菊池は理にかなった踏み位置を選択した――。横幅約61センチのプレート板。その左側(三塁寄り)に軸足を据えれば、左腕はプレートの中で挙がり、ストライクゾーンの延長戦上でボールをリリースできることになる。
さらに、移した足場はチェンジアップにも効果をもたらす。右打者の外角低めへ緩く落ちるその球は、一塁側からであればゾーンから外れる傾向にあったが「いい方向に向かっていると思います」。足場の変更でボールの軌道がゾーン内で変化するようになりつつある。
「いまは3球種で(昨季より)少なくなりましたけど、逆に一つ一つの球種に関しては自信を持って投げられているかなと思います」
大谷翔平との今季初対決が注目された登板で、菊池雄星は「進化」に値する87球を投じた。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)