打率.161でも「絶対に欠かせない」 鷹・松田宣浩が首脳陣に必要とされる理由
28日に2打席連発を放った渡邉陸捕手にも声をかけ続けていた松田
若手選手たちも萎縮させることなく、ノビノビとプレーさせるように努められるのも良さだ。28日の広島戦で2打席連続本塁打を放ち、3安打5打点と活躍した渡邉陸捕手の時もそう。「(渡邉陸が)練習中から一言も喋らんから、松田から冷やかされましたよ。ああいうところがね、やっぱマッチが偉いところですよね。ベンチの中でもずっと陸に向けて声出してね」と藤本監督は言う。
プロ初スタメンで固くなるであろう21歳をリラックスさせようと声をかけ続けていたのが他ならぬ松田なのだ。記念すべき初本塁打の直後には、どこからか“暫定ホームランボール”を持ってきて、ベンチの笑いを誘ったという。「ベンチをすごく和やかにしてくれてるんで本当ありがたい」と藤本監督。ベンチにいても、チームのためにやれることがあるというのを体現している。
結果が出なければ、当然、風当たりが強くなるのがプロ野球の世界だ。今の成績、結果にファンからは“不要論”も出ても不思議ではない。ただ、野球は“チームプレー”。試合に出ている9人だけで戦っているのではなく、チーム全体で戦っている。グラウンドに立っている選手たちが100%のパフォーマンスを発揮させるように働きかけ、ベンチにいながらも勝利に貢献しているのが松田という男なのだ。
「今年、監督になったときに『明るく元気に』と掲げて、そこにマッチが一番当てはまってるんですよね。そこは一番大事なところじゃないかな、とは思ってます」。目に見える成績は今は出ていなくとも、チームへの貢献度は計り知れない。だからこそ、松田宣浩というベテランは、首脳陣に必要とされ、1軍の不可欠な戦力とされている。
○著者プロフィール
福谷佑介(ふくたに・ゆうすけ)
1982年8月、東京都生まれ。大阪や愛知で少年時代を過ごし、早大から報知新聞社入社。サッカー担当、野球担当を経て独立し、フリーに。月刊ホークスやベースボールマガジン、ホークスファンクラブ会報誌などにも寄稿。現在はFull-Countで執筆活動を行う。ソフトバンク・甲斐拓也捕手のスローイングを初めて「甲斐キャノン」と表現した。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)