佐々木朗希に感じる「大谷君以上の凄み」“ノムさんの弟子”も舌巻く投球スタイル
「好調時のストレートは他の投手の軌道と全く違う」
もちろん、調子さえ良ければ球場に関わらず、簡単に前に飛ぶ球ではない。「近年、あそこまでの投手は見たことがない。日本ハム時代の大谷(翔平)君以上の凄みを感じます」と話す橋上氏は、楽天ヘッドコーチを務めた2015年と西武作戦コーチ時代の2016年に、大谷と何度も対戦し対策を練った。「大谷君と佐々木君では、ストレートのスピードガン表示は同じくらいですが、打者のスイングとのズレは佐々木君の方が大きいと思います」と証言する。
「打者というものは投球が手元に来る前に、このあたりに来るだろうと予測してスイングを始める。佐々木君の好調時のストレートは、他の投手と軌道が全く違うから当たらないのでしょう。垂れ方が小さいから、まるでホップしたように見える。打者にとって、脳に焼き付いた軌道を修正することは非常に難しいことです」と分析する。
また、佐々木朗の投球を見ていると、橋上氏がヤクルト選手時代および楽天コーチ時代に仕えた恩師、野村克也氏の言葉を思い出すと言う。「野村さんは『投手はストレートの球威不足を補うために配球を考え、コントロールを磨き、変化球を使う。真っすぐをど真ん中に投げて前へ飛ばないのなら、それだけ投げておけばいい』とおっしゃっていました。ほぼストレートとフォークの2種類で相手打者を圧倒する佐々木君のスタイルは、野村さんが思い描いていた理想の投手に近いと思います」と感嘆する。ZOZOマリンでは一層凄みを増す怪物に、立ち向かえるチームはあるのか。興味は尽きない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)