巨人・岡本和真は「4番として寂しい」 大物OB篠塚氏が指摘する“改善点”は?
篠塚和典氏は外国人2人を評価「働いていなかったら順位はもっと下」
12日に終了したセ・パ交流戦で、巨人は8勝10敗に終わり10位。セ・リーグでは2位につけているが、交流戦開始前は僅か1ゲームだった首位ヤクルトとの差が、7ゲームに開いた。2年ぶりV奪回の鍵はどこにあるのか。球団OBで首位打者2度を含め打率3割を7度マークし、ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞を4度受賞した名二塁手の篠塚和典氏が分析した。
「あの2人が働いてなかったら、巨人の順位はもっと下だったかもしれません」。篠塚氏がこう称えるのは、グレゴリー・ポランコ外野手、アダム・ウォーカー外野手の両新外国人選手だ。ここまで、ポランコは8本、ウォーカーは13本のアーチをかけている。主将の坂本勇人内野手が4月30日の阪神戦で右膝を負傷し、1か月以上戦線離脱した中でチームが2位に踏みとどまれているのは、この2人の力によるところが大きいと見ている。
特にウォーカーはメジャー経験がなく、米独立リーグでの活躍を評価され入団。当初は荒っぽさが目立ち結果が出なかったが、徐々に日本の野球に対応し、リーグ4位の打率.295をマークしている。
「メジャー経験がない分おごりがなく、やらないといけないという気持ちが前面に出ている。センターから逆方向へも打てるようになった。日本の投手に対応するにはどうすればいいのか、と自分の中で切り替えができたのでしょう」。守備では打球の追い方に難があり、肩も弱いが、それを補うだけの打棒を発揮している。
投手陣では、ドラフト1位ルーキーの大勢投手が抜群の働きを見せている。開幕戦の初登板からプロ野球記録の7試合連続セーブをマークするなど、ここまで25登板で救援失敗は5月8日のヤクルト戦の1度だけ。交流戦に入っても、6月4日のロッテ戦で両リーグ最速の20セーブに到達した。篠塚氏は「チームメートが『大勢が打たれたらしようがない』と思える抑えになっています」と信頼度の高さを評価する。
菅野が「普通に勝てば、ローテが楽に回る」
軸足の右足をヒールアップし、サイドに近いスリークオーターから強く腕を振る独特のフォーム。150キロ台半ばのストレートには、名前同様に勢いがある。首脳陣はこれまで大勢には2連投まで、3連投以上を課したことがない。篠塚氏は「シーズン終盤の勝負所へ向けて、そろそろどこかで3連投くらいさせ、どういう投球をするのか知っておいた方がいいと思います」と提言する。
17日に再開するリーグ戦で巨人が巻き返す条件として、投手陣ではエース菅野智之投手が安定することを挙げる。戸郷翔征投手がリーグトップタイの7勝をマークしているものの、まだ22歳。「菅野が普通に勝っていけば、若手は余計なことを考えず、気持ちに負担がかかりません。良い連鎖で先発ローテーションが楽に回ります」。また、大勢につなぐ中継ぎ陣の整備も急務と見る。
野手陣では主砲の岡本和真内野手が17本塁打、47打点をマークするも打率は.241。「4番としては寂しい」と篠塚氏は奮起を促す。ワンハンドでもスタンドまで運べ、逆方向にも打てる岡本和の技術を高く評価した上で「彼ならホームランは自然に打てる。状況に応じたバッティングを意識すれば、率は上がるはずです」と指摘した。
リーグ連覇へ歩を進めるヤクルトに対して「巨人は大型連勝をしないと追いつけない。10連勝くらいできれば、そのチームは過去の例からだいたい優勝しますけどね」と篠塚氏。「大型連勝する時というのは、投手陣と野手陣のどちらか一方がいいのではなく、ほどよくバランスが取れている時だと思います」と続けた。精神的支柱の坂本が9日に復帰し、ムードは変わった。リーグ戦再開とともに、巨人の逆襲が始まるか。
(Full-Count編集部)