野球とボクシングのカギを握る「脱力」とは? 五十嵐亮太氏が共感する重要性
内山「構えすぎるとパンチも弱くなります。脱力が大事ですから」
五十嵐:打たれ強いとか弱いとか、どこで差がつくんですか? 三半規管?
内山:首がしっかりしていれば打たれ強いとは言われます。効くのは脳が揺れるからなので。あと、打ち合いをするファイタータイプの選手は打たれ強い。打たれることを覚悟しながらパンチを打ちにいくからです。僕みたいに距離を取ってほとんどパンチをもらわないタイプは、ふともらった時に効いちゃうんです。準備ですよね。
五十嵐:なるほど。ファイターは打たれる準備をしているから。
内山:そう、反応よく動ける選手は意外と効いちゃうんです。
五十嵐:分かる気がする。反応よくパンチを避けたり、強いパンチが打てたりするのは、力が抜けているからですよね。打たれると分かって準備していると力むから、その分反応は遅くなりますよね。
内山:そうですね。構えすぎるとパンチも弱くなります。脱力が大事ですから。投手も似てますか?
五十嵐:そうですね、速い球、強い球を投げるには脱力が大事ですね。そこは常に課題としてやっていました。
内山:でも、ピッチャーライナーって怖いですよね。あんなの来たら、絶対反応できない(笑)。
五十嵐:そもそも、ピッチャーライナーが来る準備をして投げてはいないですけど、内山さんなら絶対反応できる!
内山:それこそ200キロ近いスピードで打球が飛んでくるんですよね。無理無理! でも、五十嵐さんは150キロの球を打者に投げるわけじゃないですか。
五十嵐:打つ方がすごいですよね(笑)。大谷(翔平)くんや佐々木(朗希)くんが160キロの球を投げるのもすごいけど、あんなの打てないですよ。
内山:バッターも脱力ですか。脱力していないと瞬間的なスピードは出ないので。大谷くんのスイングなんて、素人の僕が見ても速いなって感じますよね。
五十嵐:そうですね。脱力はポイントですよ。力の抜き方や入れ方だったり、ボクシングと野球は共通点が多そうですね。(第3回へ続く)
(佐藤直子 / Naoko Sato)