子どもへの過干渉は「成長を妨げる」 元楽天・鉄平さんが語る“保護者のサポート”

母の苦労を実感して感謝の気持ちが湧いた高校時代

 現役引退してアカデミーコーチをするようになってから、保護者に食事について聞かれる時は自分の経験をベースにお答えしています。まずは好きな物を中心にしっかりと食べさせる。とにかく量を食べられるベースを作ることが大事と考えています。その中で、食物繊維やカルシウムといったものも少しずつ摂るようにすると良いと思います。

 母の苦労を初めて実感して感謝したのは高校生の時です。全寮制だったので、自分で掃除や洗濯をするようになりました。朝は5時半に起きて寮の掃除から1日が始まり、授業と部活が終わって寮に戻るのは午後8時くらいです。疲れてはいますが、洗濯しないと、翌日学校に着ていくシャツや部活の練習着がありません。洗濯をしている間に自主練習をして、夏服の場合はアイロンをかけていました。

 高校に入るまで両親が当たり前のように続けてくれたことが、いかに大変だったかを知りました。母親が私たち兄弟の前で弱音を吐くのを聞いたり、つらい表情を見たりした記憶はありません。月並みですけど、やっぱり両親への感謝の気持ちは芽生えましたし、優しく接するようになりました。

 私は中学3年生の頃からプロ野球選手を目標にしていましたが、両親から「プロになれ」と言われたことはありません。ただ、父親には「自分で決めてやるのであれば、一番になるつもりでやりなさい」とよく言われていました。母は野球のプレーや取り組み方についてほとんど何も言いませんでしたが、今でもはっきりと覚えていることがあります。

 小学校高学年の時、試合帰りの車中でした。チームメートの親子と乗り合いで車に乗っていたのですが、その日は試合に負けて自分自身も活躍できませんでした。チームメートの母親が気を使って「みんな頑張ったから仕方ないね。鉄平君も頑張ったね」と声をかけてくれました。すると、私よりも早く母が「頑張るのは当たり前で、結果を出さないと意味がないでしょ。あんたは、もっと頑張りなさい」と反応したんです。プロ相手に言うような内容だったので、今でも覚えています。きっと、その試合で不甲斐なさや頑張りが足りない部分を感じていたのだと思います。

 子どものタイプや各家庭の考え方があるので、土谷家の教育方針がモデルになるとは限りません。個人的には結果を求められるプレッシャーを嫌だと感じたことはありません。野球が好きで野球中心の生活を送っていたので、結果を出すのは当然だと思って取り組んでいました。父や母との衝突もなかったですね。

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