子どもへの過干渉は「成長を妨げる」 元楽天・鉄平さんが語る“保護者のサポート”
大人が口を出し過ぎると「発想力や自主性などが育たない」
両親に加えて、大きな影響を受けた大人としては小学校時代の監督が思い浮かびます。「ミスや失敗は構わないが、なにくそという気持ちを持て。次は成功させる、もっと上手くなるという気持ちでやりなさい」と繰り返し言われました。言い方を変えると「負けず嫌い」という表現です。できるようになるまで、何度も練習しました。時代の変化なのか、最近は耳にする機会が減った「なにくそ」が、小学生からプロまで野球をする上で自分の根底にあったと思います。
私自身は今、少年野球をする息子の父親であり、野球を教える指導者でもあります。子どもたちを支える大人の役割は「最大限、環境を整えること」にあると考えています。大人は子どものプレーを直接助けられません。練習だけではなく、体を成長させる食事や睡眠のサポートも含め、子どもが頑張れる環境づくりが重要です。
「最大限」と言葉をつけたのは、それぞれの家庭ができる限りの後押しをすれば良いと考えているからです。私も土日に仕事が入れば、息子の練習や試合に参加できない時もあります。体調がすぐれない日もあると思います。無理のない範囲で、子どもたちをサポートしてください。
そして、もう1つ。最近思うようになったのは“子どもに言い過ぎないこと”の大切さです。口を出し過ぎると、発想力や自主性などが育たず、成長を妨げてしまうと感じます。それぞれの子どもに、やってみたい打ち方や投げ方があります。大人は、まず様子を見ることが大事。子どもは自ら動き出すと、工夫や改善する方法を考え始めます。考える力が少しずつ育まれるわけです。
ただ、即効性があるわけではなく徐々に変わっていくので、保護者も指導者も“我慢して待つ”気持ちが必要です。口を出したくなるのはよく分かりますが、見守りましょう。子どもたちの成長には、大人の力が不可欠です。
○土谷鉄平(つちや・てっぺい) 1982年12月27日生まれ、大分県大分市出身。津久見高校から2000年ドラフト5位で中日に入団。2006年に楽天へ移籍し、2009年に打率.327で首位打者に輝いた。オリックスへの移籍を経て2015年限りで現役引退。引退後は楽天アカデミーコーチ、2軍外野守備・走塁コーチ、1軍打撃コーチを務めた。現在は球団を離れ、野球解説者として活躍の場を広げている。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)