2回に許した“唯一の失点”が分岐点 ダルビッシュの安定を支えた配球と組み立て
昨年の同カードでは途中から速球勝負、12三振を奪った
思い起こせば、昨季4月30日(同5月1日)のジャイアンツ戦でも相手の振りから切り替えた投球を見せている。その試合の中盤で主軸のベルトに速球勝負を挑んだ。
「(序盤は)カット、スライダーにちょっと合っていた。凡打でも嫌な感じがあるなと思ったので、カーブやスプリットを入れたり初球にツーシームも投げたりしました」
あのとき、ダルビッシュはもう一つの意図を口にしている。
「ベルトに対して急に全部速球系でいったのは、相手ベンチにも見せるためで、途中からちょっと“かき回したい”というのがありました」
ベルトには、縦に変化する97マイル(約156キロ)のツーシームを膝元に決める5球連続の速球勝負。その裏には、敵のベンチを欺くため、最も効果的な、強打者を見せしめにする狙いがあった。次打席を待つ打者の観察眼と、攻略の糸口を探すコーチの炯眼はかすみ、ダルビッシュは2019年9月22日(同23日)のカージナルス戦以来となる12奪三振を記録している。