「本当に緊急事態に」頭抱える鷹・藤本監督 窮地に拍車をかける主力の下降線

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

又吉に続き、三森が左手親指を骨折「お祓いにいかなアカン」

■日本ハム 2ー0 ソフトバンク(10日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは10日、本拠地・PayPayドームでの日本ハム戦に0-2で敗れた。好投していた石川柊太投手が6回に近藤、清宮に適時打を浴びて2失点。打線は9回2死満塁のチャンスも生かせずに完封負けとなった。試合後には三森大貴内野手の骨折が判明。コロナ禍で苦しいチーム状況の中で怪我人も続出し、危機的状況となってきた。

「本当に緊急事態になった。ちょっとお祓いにいかなアカンね。ちょっと多すぎるね、これ。いるメンバーでやるしかない」。試合後の藤本博史監督の表情も曇った。初回に交代した三森の左手親指の骨折が判明。中村晃外野手も腰痛を訴えて、5回の守備で途中交代。相次ぐ怪我人でチームは“野戦病院”と化している。

 6月下旬にチーム内では新型コロナウイルスの陽性者が続出した。和田毅投手や嘉弥真新也投手、甲斐野央投手、藤井皓哉投手、甲斐拓也捕手、ジュリスベル・グラシアル内野手、野村勇内野手、アルフレド・デスパイネ外野手と主力が一気に離脱。チームが苦境に陥ると、8日にはここまでセットアッパーとして活躍していた又吉克樹投手が右足甲を骨折。リバン・モイネロ投手も寝違えで欠場が続き、野手、投手共に大幅な戦力ダウンを強いられることになった。

 藤本監督は「いるメンバーでやるしかない」と、何度も口にしてきた。この状況下で頼りになるのは、1軍でプレーするメンバーたち。ただ、ここにきて、既存メンバーの状態も軒並み下降線を描いている。

 シーズン序盤、好調だった今宮健太内野手は7月に入って、この試合を迎えるまで打率.150。柳町達外野手は.118と苦しむ。5月には打率.453と打ちまくった牧原大成内野手も7月は.240。ここまで打線を牽引してきた面々がほぼ同時に不調に陥っており、コロナ禍の緊急事態に拍車をかける。投手陣も当初の勝ちパターンがほぼ“全滅”。勝利の方程式すら固められない状況になっている。

 緊急事態で昇格してきた若手たちも、2軍での状態は奮っていなかった。小久保裕紀2軍監督も昇格の推薦候補は「いません」と断言していたほどで、状態的には“救世主”として期待するのは厳しいと見られていた。コロナ禍、故障禍、そして、選手たちの調子の波の落ち目……。いま、それらが一気にソフトバンクに襲いかかっている。

 10日のウエスタン・リーグの阪神戦では新型コロナで離脱していた甲斐とデスパイネが実戦に復帰。12日からの同リーグの中日戦では野村勇らも順次、実戦復帰を果たす予定となっている。離脱している投手の復帰には時間がかかるものの、野手陣の1軍復帰は近づきつつある。チーム編成がある程度整うまで……。ソフトバンクは試練の時を迎えている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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