なぜ大谷翔平の放出が噂されるのか? 日本と米国で全く違う“トレード事情”
メジャーリーグではプレーオフ進出を目指す球団が積極的に補強に動く
まず、今回、大谷にトレードの可能性が出てきている背景をおさらいしておこう。大谷とエンゼルスは来季まで契約を残しており、2023年シーズン終了後にFAとなる。大谷の契約延長には、メッツのマックス・シャーザー投手の4333万ドル(約59億円)を超える史上最高年俸が必要と見られている。エンゼルス側もこれを理解しているとされている。
ただ、エンゼルスは12年総額4億2650万ドル(約586億円)のマイク・トラウト外野手、7年総額2億4500万ドル(約337億円)のアンソニー・レンドンという高年俸選手を抱えており、仮に大谷と年俸4500万ドル(約60億円)で契約した場合、トラウト、レンドンとの年俸総額は1億2000万ドル(約165億円)にもなり、3人だけで総年俸規定額の360億円の半分を超えてしまう。
メジャーリーグではトレードが活発に行われる。市場では「売り手(セラー)」と「買い手(バイヤー)」と二分され、プレーオフ進出の可能性が高まっている球団が「買い手」、可能性の低くなった球団が「売り手」となる。「買い手」球団は「売り手」球団からトレードで主力選手を獲得し、ワールドシリーズ制覇を目指して補強を敢行。主力を放出した「売り手」球団は、その交換要員として「買い手」球団が抱えていた将来有望な若手を複数獲得し、来季以降に向けたチーム作りに生かす。これがメジャーリーグの基本的なトレードの動きになる。