なぜ大谷翔平の放出が噂されるのか? 日本と米国で全く違う“トレード事情”

「売り手」となった球団は主力と引き換えに有望な若手を大量に獲得

 つまりメジャーリーグでシーズン中に行われるトレードは、プレーオフ進出、さらにはワールドシリーズ制覇を目指すチームによる積極的な動きの表れとなる。補強の対象となる選手はそれに向けた“切り札”として、大きく期待されての移籍となる。日本のプロ野球では、それぞれの所属球団で出場機会に恵まれていない選手による交換が多いが、メジャーリーグの場合は意味合いが大きく異なる。

 そして「売り手」となった球団にとっても、このトレードは大きな意味を持つ。主力の放出と引き換えに得た若手を育て、そう遠くない未来にプレーオフ進出やワールドシリーズ制覇を狙えるチーム作りに繋げていく。また、チーム成績が低迷することで、ドラフトの指名順位は上昇。有望な選手を指名しやすくなる(2022年に成立した新労使協定でドラフト抽選制が導入された)。

 近年ではアストロズがその好例で2010年代前半に「売り手」となってチームを刷新、低迷期に新たに加入した若手が主力になった現在は常勝軍団となり、2017年にワールドシリーズ制覇、5年連続でプレーオフ出場、今季もア・リーグ西地区の首位に立っている。

 ヤンキースやドジャース、メッツといった資金力が豊富なチームは常に積極的な補強を続けるが、資金力が豊かではないチームはその時々のチーム状況により「買い手」と「売り手」になり、プレーオフ進出を狙う時期、チームを解体&再建する時期をサイクルさせる。もし、大谷がトレードとなる場合は、このプレーオフ進出とワールドシリーズ制覇を狙う球団がその移籍先候補になるだろう。

(Full-Count編集部)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY