“落ちる魔球”は150キロ台の領域に 佐々木朗希が新たな扉開いたフォークボール

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

ロッテ佐々木朗が150キロ、オリ山本が149キロで続く

 プロ野球選手のフィジカル能力の高さを垣間みることができるプレータイムのランキングTOP5。過去、内野安打時の一塁ベースかけ抜けや、二塁打、三塁打時のベース到達、本塁打の滞空時間、捕手の二塁送球などを紹介したが、今回は「投手のフォークボールの球速」という少し趣向の違うテーマにトライした。5月1日から交流戦終了日の6月12日までに記録されたデータから抽出した結果を5位から紹介する。

 5位はソフトバンクの椎野新投手で145キロ。196センチ、95キロの右腕は真上から投げ下ろすようなフォームで力強い投球を披露する。調子が良いときは150キロに達する速球で押し、追い込むとフォークの可能性が高まる。ストレートとフォークの球速差が少ないので打者はストレートと確信してスイングしたのにバットにボールが当たらず空を切る。おそらく、そんな感じではなかろうか。

 4位は西武の高橋光成投手で146キロ。先発ローテの一角を担う右腕は150キロ超のストレートを持ちながらも、力押しの投球ばかりに頼らない。スライダーやカットボールなど、フォークボール以外にも持ち球を状況に応じてまんべんなく投げ分ける。フォークの球速は146キロの時もあれば、130キロ台であることも多い。146キロが出た時は抜き加減が浅くてストレートに近い投球になったのかもしれない。

 3位は147キロで、ソフトバンクの杉山一樹投手、オリックスの張奕投手とK-鈴木投手、日本ハムの上沢直之投手が並んだ。杉山はストレートの球速は先発でも常時150キロを超えるなど、迫力はリーグトップクラスを誇る。張奕のフォークは追い込んでからの決め球として威力を発揮している。K-鈴木のフォークの平均的な球速帯は140キロ台前半。高速フォークを武器にしているといっていい。上沢は比較的縦の変化球を得意としており、球速のあるフォークは追い込んだ時の決め球として有効に活用されている。

 オリックスの山本由伸投手が149キロで2位に入った。昨年は勝利数、防御率、勝率、奪三振数といった投手の主要部門の多くでトップを独占。今季はノーヒットノーランを達成するなど、国内では無双状態。その快投を支えている多数の要素の中のひとつに高速フォークも含まれている。

 そして1位はやはりロッテ・佐々木朗希投手で150キロだ。近年の平均的な球速の上昇ぶりには目を奪われるものがある。ストレートといいフォークといい、佐々木朗はまさに新時代の幕開けを象徴する存在といえるだろう。この調子で技術や体力のレベルアップがさらに進んだ場合、次の30年後は果たして何キロのフォークが投げられているだろうか。限界への挑戦はこれからも日々続くと思われるだけに、楽しみしかない。

【実際の映像】佐々木朗、山本、上沢…パを代表する投手が顔を揃える「フォークの球速」TOP5

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