主力欠いても首位争い…鷹の“昇格組”はなぜ活躍? カギ握る小久保2軍監督の推薦
昨季まで2軍監督だった藤本監督の思いも色濃く反映されている
ファームで選手個々を見極め、1軍に推薦するのが小久保裕紀2軍監督だ。元々が強打者として鳴らした小久保2軍監督は特に野手に対して目を光らせる。自らも打撃投手としてボールを投げ、その内容を見て、選手個々の好不調を見極める。試合での結果、内容と合わせて総合的に判断し、藤本監督ら1軍首脳陣に報告。この“推薦”とチーム事情を照らし合わせて、藤本監督ら1軍首脳陣は入れ替えを検討する。
1軍首脳陣と2軍首脳陣は綿密に連絡を取り合い、ファームの現状を共有する。藤本監督は時間があればファームの試合をチェックし、自らも選手の状態を確認する。「小久保監督から推薦があって『調子いいです』『好調な選手ですよ』となった時はできるだけ使っていきたいと思っている」と、積極的にスタメンで起用する意向も。先日の本塁打を放った増田はまさにこの“好調選手”として推薦された選手だった。
その一方で1軍に昇格しても、なかなかスタメンで起用されない選手もいる。そういった選手はこの“好調選手”には該当せず、チーム事情で昇格した選手ということ。「そこはもうちゃんと割り切って。例えば外野手が1人いないから、ということでこっちからは呼ぶときは、好調な選手ではないから」と指揮官も語るように、選手起用の差は、ここから生じているのだ。
小久保2軍監督ら2軍首脳陣の意見と推薦を吸い上げ、それを1軍昇格、さらには選手起用にも反映させようとしている藤本監督。自らが2軍監督だった時に感じたことがあるからこそ、より積極的な起用を志す。離脱者が相次いでいるソフトバンク。優勝争いに踏みとどまり、そして抜け出すためには若手の台頭も不可欠。ここから先の残るシーズン、さらに1軍と2軍の連携、両首脳陣の働きが重要になってくる。
○著者プロフィール
福谷佑介(ふくたに・ゆうすけ)
1982年8月、東京都生まれ。大阪や愛知で少年時代を過ごし、早大から報知新聞社入社。サッカー担当、野球担当を経て独立し、フリーに。月刊ホークスやベースボールマガジン、ホークスファンクラブ会報誌などにも寄稿。現在はFull-Countで執筆活動を行う。ソフトバンク・甲斐拓也捕手のスローイングを初めて「甲斐キャノン」と表現した。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)