“強打の日大三”がスクイズで決勝点を狙ったワケ…「選手も監督もダメ」からの逆襲

勝ち越しスクイズを決めた日大三・松藤孝介【写真:小林靖】
勝ち越しスクイズを決めた日大三・松藤孝介【写真:小林靖】

小倉全由監督は関東一時代を含め、甲子園で22度目の指揮へ

 第104回全国高校野球選手権の西東京大会は7月31日、神宮球場で決勝戦を行い、日大三が東海大菅生を逆転し6-2で勝利。4年ぶり18度目の夏の甲子園出場を決めた。65歳の小倉全由監督は、関東一時代を含め、春夏合わせて甲子園で22度目の指揮を執ることになるが、今回は名将にとっても万感胸に迫るものがある。

 0-2とリードされて迎えた6回の攻撃。日大三は川崎広翔捕手(3年)の2点タイムリーで同点に追いつき、さらに1死一、三塁として、「9番・投手」の松藤孝介(3年)が左打席に立った。カウント1-1からの3球目、投前に勝ち越しスクイズを決め、さらに相手投手の鈴木泰成(3年)の一塁悪送球を誘って、一塁走者まで生還。一気に2点差をつけ、試合の流れをつかんだ。

「私はあまりスクイズをやらない方ですが、打席に入っていたのが投手でしたし、どうしても点が欲しかった。うまくやってくれましたよね」と小倉監督。当の松藤は「監督は絶対に決まる場面でしか、サインを出さない。だから、相手投手が真っ直ぐでストライクを取ってくると信じていました」と明かした。

 日大三と言えば全国でも有数の名門だが、昨秋には“どん底”を味わった。秋季東京都大会で、準々決勝ではこの日も対戦した東海大菅生を9回サヨナラ勝ちで下したが、続く準決勝で国学院久我山に3-14とまさかの5回コールド負け。衝撃的な形で、今春の選抜出場への道が途絶えた。

秋の大敗も糧「この年になって、いい勉強をさせてもらいました」

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