投高打低の年に突出した打棒 今季の山川穂高と2011年の中村剛也、どっちが凄い?

2011年の中村剛也と2022年の山川穂高の「wOBA」と「wRAA」の比較【画像:パ・リーグ インサイト】
2011年の中村剛也と2022年の山川穂高の「wOBA」と「wRAA」の比較【画像:パ・リーグ インサイト】

指標「wOBA」や「wRAA」で突出した数字をマーク

 次に、打者が1打席あたりどの程度チームの得点増に貢献していたかを示す指標「wOBA」、リーグ内における平均的な打者と比較した際にどれだけ多くの得点をチームにもたらしたかを示す「wRAA」をもとに2人の貢献度を確認する。(※wOBAは失策出塁を加味しない簡易的な計算式を使用)

 wOBAはおよそ.330が平均値とされているが、2011年と2022年のリーグwOBAはいずれも本来の平均値を大きく下回り、2011年が.291、今季が.294。この2シーズンが投高打低の状態にあることが数字でも証明されている。一方で2011年の中村と今年の山川はその影響を受けることなく、平均を大きく上回る数字を記録(中村は.412、山川は.433)している。

 wRAAに目を向けても、中村は60.88で山川は56.27。wRAAは平均的な打者の数値がちょうど0になる指標であるため、2人は平均的な選手よりも50点以上多くの得点をチームにもたらしている計算になる。wOBAは1打席ごとの期待値を示す指標であり、打席数の大小は評価の対象とはなりにくい。wRAAはシーズン全体の貢献度を求めるため、打席数が多い打者ほど数値が高くなりやすい。そのため全試合出場を達成した中村の方が、故障離脱があった今季の山川よりも高い数値を記録している。

 今季の山川が143試合にフル出場していたとしたらwRAAは65.12となり、中村を上回る。本塁打数もフル出場であれば年間54本に到達するペース。序盤戦での離脱が惜しまれるところだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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