西武・辻監督が“制球難”の今井に珍アドバイス「真ん中を狙えば真ん中にはいかない」

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】
西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

打者目線で証言「クロスステップで投げてくるから、打者は怖い」

 しかし、辻監督は「でも、ああいうのも持ち味だからね」と苦笑。「あれで抑えるのが今井だからさ。あそこを2点で抑えたところは、粘れたから良かった。次の回のホームランは痛かったけどね」と評した。

 制球が定まらないから、6回までに125球を要し、長いイニングを投げることもできなかった。かと言って、コースを狙って腕が縮こまるようでは、今井の特長が消えてしまう。辻監督は「細かいコントロールをあまり気にせず、しっかり腕を振ることが一番だよ。いい変化球も持っているしね。単純に言えば、コントロールが悪いということは、真ん中を狙っても、真ん中にはいかないわけじゃん? ひゅっとコースへ投げるよりは、真ん中を狙って、打てるものなら打ってみろと投げて、結果的に(内・外角の)どちらかへいった方が、相手打者は嫌だと思うよ」と大真面目に語った。

 さらに指揮官は「ブルペンで今井のピッチングを見ていると、クロスステップで投げてくるから、打者は自分の体の方に来る気がして怖い」と打者目線で証言。「逆に際どいコースへ投げると、相手打者は甘いコースに目付けをしているから、手が出ず結果的にボールということになる。もっと大胆に、真ん中に投げればどちらかへいくさ、というくらいの気持ちで投げたらどうなの? それだけの球を持っていると、俺は思うよ」と提言した。

 今季の今井は開幕直前に右内転筋の張りを訴え、さらに2軍戦で左足首を痛めて大幅に出遅れた。それでも、7月7日に1軍昇格を果たしてからは、7試合で3勝1敗、防御率2.95の好成績を挙げている。昨季マークした自己最速は159キロ。潜在能力の高さは、親交のあるパドレスのダルビッシュ有投手にも引けをを取らないと思わせるところがある。そして就任6年目で3年ぶりのリーグ優勝へ向けて歩を進める辻監督も、今井の才能を開花させることを自身に課せられた重要な使命の1つととらえている節がある。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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