下関国際はなぜ大阪桐蔭&近江の“主役”を倒せた? 旋風呼んだ「弱者の野球論」

2番手で登板し好投を見せた仲井「自分たちは力がないのでチームでしぶとく徹底してやりました」

 坂原監督が掲げる「弱者が強者に勝つ」を見事に体現し“近畿1強”の流れを止めた。昨夏は智弁和歌山(和歌山)が優勝しベスト4全てが近畿勢。今春の選抜も大阪桐蔭(大阪)が優勝しベスト8には近畿勢4校が名を連ねたが、今大会では“最後の砦”だった近江を撃破。

 2回途中から2番手で登板し8イニングを8安打2失点に抑える好投を見せた仲井慎投手(3年)も「相手が近江高校さんということでレベルも上。自分たちは力がないのでチームでしぶとく徹底してやりました。燃え尽きたはまったくない」と、チャレンジャー精神で“格上”に挑んでいたことを明かしていた。

 甲子園期間中は練習場所の確保など環境面でも優遇されている近畿勢。昨夏は明徳義塾の馬淵史郎監督も「調整で近畿は帰れる。地方はそういう部分はしんどい」と語ったほど。今大会は雨による順延がなく、順調に日程が消化されたのも要因の一つかもしれない。

 2005年の就任から今年で18年目。根気強くチームを鍛え上げ手にした決勝の舞台に指揮官は「選手たちが、勝つ度に見たことない力を発揮している。いつかはこの舞台に下関国際を引っ張って立ちたいと思っていた。感慨深いものがあるが、ここまできたチャンスを今いる生徒、OBと共に戦いたい」。

 決勝の相手は夏29回の出場を誇る宮城の名門・仙台育英。甲子園で成長し続ける下関国際は最後にどのような試合運びを見せるのか、注目が集まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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