コロナで消えた夏「終わった実感なかった」 歓喜の街で行われた“42日後の宮城大会”
東北生活文化大・岩井主将「モヤモヤしていた気持ちがなくなった」
出場辞退が決まった時は「終わった実感が湧いてこなかった」という生文・岩井陽幸主将。「僕たちのための舞台を用意してくださり、感謝の気持ちしかありません。モヤモヤしていた気持ちがなくなり、『やっと引退できた』という気持ちです」と晴れやかな表情を見せた。
公立の仙台商と石巻商を東北大会に導き、2014年から生文を指揮してきた水沼監督はこの春に還暦を迎え、今夏で勇退。この日、再びユニホームに袖を通し「子どもたちもどこかで引っかかっていたものがあったと思うので、本当に感謝です。『野球、楽しいな』と感じる野球ができたと思います」と笑顔だった。
聖和学園戦を全員で戦うことができなかった東北の富沢清徳監督は「ホテル療養や自宅療養などでグラウンドに顔を出せずに終わった子たちが多かった。勝敗は気にせず、ユニホームを着て、グラウンドで終わることができたのは良かったと思います」と話した。
柴田昌吾主将は「(宮城大会に)メンバー変更で出させていただいたことも含め、コロナの中で選手のことを考えてくださった人がすごく多かった」と感謝した。柴田はメンバー変更で抜けた一人で「高校野球が終わった実感はなかった」という。だが、この日、3年間を過ごした仲間と縦縞のユニホームを着て戦い「東北高校で野球をやろうと同じ志を持って来た選手たちともう1度、野球をやれたというのはすごく嬉しかったです」と喜びを噛み締めた。
3年生は東北が26人、生文が9人。さまざまな思いを胸にプレーし、彼らは“夏”を終えた。高校野球に区切りをつけ、次のステージへと進んでいく。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)