“悪名高き審判”とMLBの法廷闘争 ワールドシリーズから外されたのは誤審のせい?
エンゼル・ヘルナンデス氏の訴えにMLB機構は数々の誤審を挙げ反撃
MLBのエンゼル・ヘルナンデス審判が、自身がワールドシリーズに出場できないのは人種差別だと訴えてきた問題について、MLB機構は8月31日(日本時間9月1日)に、ワールドシリーズの審判に任命されないのは「彼のパフォーマンス」が原因とする反論を行った。米ヤフースポーツが伝えている。
キューバ出身のヘルナンデス氏は、1993年からMLBで審判を務めているものの、選手やファンの間ではその誤審の多さで悪名高い。その上、2017年にヘルナンデス氏は、責任審判やワールドシリーズの割り当てを得られなかったのは人種差別だと主張し、MLBを訴えている。この主張は2021年に棄却されたものの、今年6月に再び、MLB機構がヘルナンデス氏と他の有色人種の成績を操作したとして上告していた。
これに対しMLB機構は、ヘルナンデス氏が犯してきた誤審の例を挙げ、自身のパフォーマンスが原因でワールドシリーズの審判に任命されなかったと主張しているという。顕著な例として、ヤンキースとレッドソックスが戦った2018年ア・リーグ地区シリーズでの3つの誤審を挙げた。
この報道によると、MLB機構がヘルナンデス氏の訴えに対して提出した58ページにも及ぶ書類には、即座にリプレー検証が可能な環境が導入された2014年以降で、ポストシーズンで1人の審判が3つもの覆る判定をしたのはこれが初めてだったことや、当時チーフ・ベースボール・オフィサーとして試合を管理する立場にあったジョー・トーリ氏(元ヤンキース監督)が「さらに緊張感の高いステージで、ヘルナンデスが無事に仕事を遂行できるという自信を持てなかったため、ワールドシリーズで審判に任命しなかった」ことが記されている。
さらにMLBは2013年のアスレチックス-インディアンス戦で、明らかに本塁打だったものを二塁打と判定し、責任審判だったヘルナンデス氏がリプレー検証でも判定を覆さなかったことを示した上で「長年にわたり、ヘルナンデスが自身の判定が誤りだったと認めるのを拒否し、その上リプレー機材の質を非難しようとした。彼が間違った判断を他人の責任だと主張しているのは、ワールドシリーズ審判という任務に不適だとトーリが考えた象徴的な理由である。酷い判定そのものが問題なのではなく、ヘルナンデスの自身の失敗に対する反応が問題なのだ」とバッサリ。