大谷翔平とMVP争い…51発のジャッジは何が変わった? ベテラン記者解説「63本打つ」

ヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:Getty Images】
ヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:Getty Images】

今季のジャッジは「ボールゾーンの球に手を出さない」

 ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手は2日(日本時間3日)終了時点で両リーグ通じて断トツの51本塁打をマーク。エンゼルスの大谷翔平投手とともに今季のア・リーグMVP有力候補に挙げられている。シーズン63発ペースで一発を量産する30歳は今季、何が変わったのか。2009年からヤンキース番記者を務めるニューヨーク紙「ニュースデイ」のエリック・ボーランド氏は打席でのアプローチが大きく変化し、選球眼が向上していることを挙げ、最終的に61本の球団記録を更新して63~64本に到達すると予想している。

 8月を終了した時点で51本塁打。5年ぶり2度目のホームラン王にばく進しているジャッジをボーランド氏は「歴史的なこと」と称賛する。2017年に52本塁打でタイトルを獲得してから昨年までのホームラン数は27→27→9→39。今季は何が変わったのだろうか。ボーランド氏は選球眼をあげる。「ボールゾーンの球に手を出さないから、投手は向かっていくしかない。今年は総合的にバランスが取れている。総合的にこれまでより優れた打者になった」と語る。

 持ち前の超人的パワーだけではなく、打者として“成熟期”に入ったと、ボーランド氏は評価する。「昔と違うのは打者としてのアプローチ。相手が四球を与えようとしても、彼は喜んで受け入れる。イライラすることはない。出塁すれば後続の打者が仕事をしてくれると信じている。打者としての総合力が向上しているんだ。かつてないほどにストライクゾーンを理解している。スイングするのはほとんどダメージを与えられると思ったボールだけだ」と力を込めた。

ニューヨーク紙「ニュースデイ」のエリック・ボーランド氏【写真:盆子原浩二】
ニューヨーク紙「ニュースデイ」のエリック・ボーランド氏【写真:盆子原浩二】

 チーム内でリーダシップも発揮しているようだ。ボーランド氏によれば、ジャッジとアンソニー・リゾ内野手がチームのリーダー的存在。2017年当時からリーダーとしての素地を見せ、CC・サバシアやブレット・ガードナーらベテランから学んでいたという。ジャッジはチームで最も練習熱心な選手の1人で「他の選手に『ほら、もう少しペースを上げていかないといけないぞ』と言うことを恐れない。誰もそれに腹を立てず、敬意を抱いている。彼を最も練習熱心な選手だと見ているからね」とも述べている。

 ヤンキースの年間最多本塁打は、1961年にロジャー・マリスが記録した61本。ジャッジは記録を更新できるのだろうか。ボーランド氏は「私の予想は63本だ。明日同じ質問を受けたら64本と答えるかもしれない。いずれにしても60本は打つと思っている」と予測。さらに「残り試合(31試合)から計算すれば十分いけると思う。これからは打てる球を投げられることがどんどん減って、1試合で打てる球は3~4球しかないかもしれない。でも、少なくともあと9本打って60本、それ以上打てると思う」と期待を寄せた。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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