時差ボケ、スコールに“想定外”の混雑… 侍U18が世界一へ乗り越えるべき“壁”

天然芝の球場にも苦戦、近江・山田は「一番厄介」と本音も

 まずは時差ボケ。日本と米フロリダの時差は13時間。ナインが練習していた現地時間午後1時から5時までは日本では深夜2時から午前6時に当たる。大阪桐蔭・松尾汐恩捕手も「いざ練習してみたら、体の重さや浮ついている感覚がありました」と痛感していた。

 球場の環境も日本とは全く違う。今大会で使われるレコン・パーク、エド・スミス・スタジアムはともに天然芝。日本に多い人工芝のグラウンドとは違い、ボールが止まったりイレギュラーが起こりやすい。この日の練習場も天然芝だった。馬淵史郎監督も「(人工芝では)シングルハンドで捕れるけど、(イレギュラーがあるため)股を割って捕らないと。参考になりました」と難しさを感じていた。

 さらに、この日は目まぐるしく天気が変わり、スコールが何度も球場に降り注いだ。晴れたときには30度以上になる一方で、日が陰ると少し肌寒さも感じる。気温の変化だけでなく、地面が濡れることでボールの跳ね方も変わってくる。これには、近江・山田陽翔投手も「一番厄介なんで……」と本音を漏らした。

 食事一つをとっても苦難の連続。選手たちはホテルや旅行会社のサポートがあるが、慣れている日本食が毎日食べられるわけではない。2017年にカナダ、サンダーベイで行われた同大会では応援に来た保護者が日本食を届けていたという。筆者も日本で電子レンジで温めるご飯を3パック、持参した。当初は、日本食が恋しくなった時に食べようと思っていたが、行きの飛行機で眠ってしまい機内食を逃した。初渡米で午後10時に到着し、食事にありつけるはずもなく、初日の夜に3食全て平らげてしまった。想定外だった。

 ただ、既に選手や監督は“想定外”なことも起こり得ると心の準備はしている。山田も「(難しい環境は)相手も同じ条件」と決して言い訳にはしない。馬淵監督も選手陣に「時差ボケはきょうまでにしろ」と指示。7日以降は本番さながらで練習を行うことを明かした。

 想定外のことが多々起こる国際大会。戸惑うのは球場や文化の違いだけではないだろう。2019年に大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(現ロッテ)、星稜(石川)・奥川恭伸投手(現ヤクルト)を擁してもなしえなかった世界一を馬淵ジャパンは手に入れることができるか。筆者も様々な“想定外”と戦いながら、若き侍たちの活躍をしっかりと届けていきたい。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY