大谷翔平、逆転MVP受賞の最低条件は? ヤ軍番記者が解説、超えるべき“2つの大台”

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

長くヤンキースを取材するスウィーニー・ムルティ氏が取材に応じた

 2022年ア・リーグのMVPはエンゼルスの大谷翔平投手か、ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手か。11勝&33本塁打の二刀流と、両リーグ断トツ55本塁打を放つスラッガーをめぐる“MVP論争”が米国でヒートアップしている。ニューヨークのラジオ局「WFAN」でヤンキース番を務めるスウィーニー・ムルティ氏はFull-Countの取材に応じ、現状ではジャッジに分があるとしつつ、レギュラーシーズン残り1か月のパフォーマンス、特に投手としての活躍が重要になると述べている。

 大谷が2年連続でMVPに輝く可能性はあるのだろうか。長くヤンキースを取材するムルティ氏は、現状では「私ならジャッジを選びますね」と語る。7日(日本時間8日)終了時点で55本塁打&118打点、OPS1.090はいずれも両リーグを通じてトップ。チームは地区首位を走る。これらを踏まえて「シーズンが今日終わりなら、かなり簡単にジャッジと言うと思います」と強調する。

 ムルティ氏は“MVPレース”で重要になる指標はWARであると語る。WARは打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、1位がジャッジで大谷は2位となっている。さらに、打者としてのリーグ平均からの傑出度を測る指標である「OPS+」がジャッジは198、大谷が148である(ムルティ氏への取材時)とし、ジャッジは「平均的な選手のほぼ2倍の実力を持っているのです」と説明。打撃成績に関して2人には「本当に大きな差があり、みんなそこに注目すると思います」とも述べている。

 一方でムルティ氏は、だからといってジャッジで決まりというわけではないとも主張する。打撃成績では差があるが、それを埋める可能性があるのが投手としてのパフォーマンスだという。「もし彼(大谷)がヒットを打っても、9月に良いピッチングができなければ、それは彼にとって不利に働く可能性があると思います。彼がこの議論に参加しているのは偉大な投手であるからです。もし、2人の打者だけだったらジャッジは簡単に勝つでしょう。彼は本塁打を大谷より20本以上多く打っている。勝負にもならないでしょう。だから9月にいい投球をしなければならないと思う」と力説した。

 ムルティ氏は大谷を「驚異的。凄い選手」と評価し、「今、最も偉大な選手と言えるかもしれません」と最大級の賛辞を贈る。一方で「MVPはその賞ではありません。2022年に最も価値のある選手ということです。だから、その定義は人によって違うと思います」とも述べている。大谷はここまで投球回は自己最多の136回。初の規定到達にあと26回に迫り、奪三振数もリーグ5位の181としている。今月は3日(同4日)のアストロズ戦で8回1失点と好スタートを切った。今季残りの登板機会は4~5度とされており、規定投球回&200奪三振は射程圏にある。“MVP争い”において、今後の大谷の投球は大きな意味を持つことになりそうだ。

(カーロン麻衣 / Maia Kahlon)

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