大混戦V争い…西武はリミッター解除 辻監督が見せる“なりふり構わぬ”執念

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】
西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

相手の8投手継投に今季16度目の零封負け

■オリックス 5ー0 西武(8日・ベルーナドーム)

 パ・リーグ2位の西武は8日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦で、相手の8投手継投の前に0-5の零封負けを喫した。1位ソフトバンクから3位オリックスまでゲーム差ゼロ(勝率1厘差)にひしめき、4位・楽天も2.5ゲーム差で追うデッドヒート。その中で西武は、連覇した2018、19年に猛威を振るった“山賊打線”が、リーグ5位のチーム打率.230と振るわない。対照的にリーグトップのチーム防御率2.67を誇る投手陣を前面に押し立て、残り15試合を戦い切る。

 相手先発のドラフト1位ルーキー・椋木は、右肘の違和感を訴え2回途中で緊急降板。しかし、この日の西武はそこに付け込むことができない。小刻みなリレーの前に、7回までは内野安打2本と3四死球のみで二塁も踏めなかった。

 4点を追う8回には、ワゲスパックに対して1死満塁、5点ビハインドとなった9回にも平野を攻めて再び1死満塁としたが、結局1点も取れずに終わった。「意外とこうなるんですよ。先発投手にアクシデントがあって、次から次に替わられると、なかなか的を絞りづらい」。辻発彦監督は今季16度目の零封負けを淡々と振り返った。

 一方、先発の平井克典投手は6回1/3、1安打3四球2失点の好投だったが、4回先頭の中川圭に先制5号ソロを被弾。7回には1死から頓宮を四球で歩かせたところで、今季無失点の左腕・公文克彦投手をマウンドへ送るも、代走・小田に二盗を許した上、森友哉捕手の悪送球も重なり、走者は一気に三塁へ。直後、宗に中前適時打を浴び2点目を許した。「0-1のままいければよかったんだろうけど……ちょっともったいなかったね」と辻監督。守りを前面に戦う以上、細かいミスがこうして命取りになることも覚悟しなければならない。

 近親者の新型コロナウイルス感染で6日に抹消されていた守護神・増田達至投手が「特例2022」の適用を受け、2日間で復帰できたのは朗報。ただ、この日は2点ビハインドの8回に登板し、伏見と中川圭にソロ2発を献上した。辻監督は負けていても、2点差のままなら9回に平良海人投手を投入するつもりだった。「2点くらいなら、チャンスは大いにありだから。実際に1死満塁を2度つくったのだからね」。もはやリミッターを解除し、なりふり構わず投手をつぎ込んで勝利をもぎ取る姿勢を示した。

 稀に見る激しい優勝争いに「楽天さんも入ってくるでしょうし、まだまだどうなるかわからない。ここでしっかり踏ん張らないと」と表情を引き締めた指揮官。3年ぶりのゴールへ向けて、いよいよムチを入れる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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