大混戦V争いでオリが“怖い存在”に ドラ1まさかの緊急降板も見せた経験値

オリックス・宇田川優希【写真:荒川祐史】
オリックス・宇田川優希【写真:荒川祐史】

育成出身の宇田川が緊急登板でプロ初勝利

■オリックス 5ー0 西武(8日・ベルーナドーム)

 昨季覇者がじわじわ来た。オリックスは8日、敵地ベルーナドームで行われた西武戦に5-0で快勝。3位ながら首位のソフトバンクにゲーム差ゼロ(勝率1厘差)と肉薄した。4位の楽天も2.5ゲーム差につけ、パ・リーグは史上稀に見る大混戦だが、こうなると25年ぶりにリーグ優勝を果たした昨季の経験値がモノを言いそうだ。

 継投策が冴えた。先発のドラフト1位ルーキー・椋木蓮投手は、2回1死から栗山に遊撃内野安打を許したところで右肘の違和感を訴え、まさかの緊急降板。しかし、スクランブル登板した宇田川優希投手が試合の流れをグイと引き寄せた。育成出身2年目で、7月28日に支配下登録を勝ち取ったばかりの23歳は、後続の中村、オグレディを打ち取ったばかりか、続く3回も3人で片づける。さらに4回には、相手のクリーンアップを3者連続空振り三振斬り。森には内角低めのフォーク、山川には外角高めの154キロストレート、呉には3球連続150キロ超の速球でカウント1-2と追い込んだ後、真ん中のフォークを振らせた。

 プロ入り後1イニングを超えて投げるのは初めてだったが、2回2/3、無安打5奪三振無失点。11試合目の登板でプロ初勝利を挙げた。「これまでいいところで投げたことがなかったので、チャンスだと思いました。(ブルペンでは)準備はしていませんでしたが、普段から球数は多く投げないですし、肩はすぐつくれます」と頼もしい。中嶋聡監督も「経験はないが、力のあるピッチャー。思い切って攻めたと思います」と評し、優勝へ導く救世主となりそうな雰囲気まで感じさせた。

 5回以降はK-鈴木投手、吉田凌投手、小木田敦也投手、阿部翔太投手、ジェイコブ・ワゲスパック投手、平野佳寿投手を小刻みに投入し、結局総勢8人の継投で零封勝ち。中嶋監督は「K(-鈴木)の四球だけが余計だった(5回走者なしからオグレディに四球)」と冗談めかしつつ、「1人1人が持ち味を出した」と称えた。アクシデントに動じない采配も、さすがだ。

 一方、打線は効率的だった。6安打の内訳は、本塁打3本(中川圭2本、伏見1本)、三塁打1本、二塁打1本。1-0とリードして迎えた7回、1死から頓宮裕真捕手が四球で歩くと、代走に小田裕也外野手を起用し、続く宗佑磨内野手の4球目に二盗成功。捕手・森の悪送球も誘い、小田は一気に三塁へ到達した。直後、宗がチームにとってこの日唯一のシングルヒットの中前適時打を放ち、貴重な追加点を奪ったのだった。ここぞの場面での勝負強さを見せつけ、中嶋監督は「どのホームランも非常に大きかったし、小田が走って、というのも大きかった。全員がいい動きをしたと思います」と手応えを得た様子だ。

 ソフトバンク、西武、楽天を含めた“4強”の中で、オリックスだけが今季いまだ単独首位に立ったことがないが、ここに来て試合巧者ぶりが目を引く。1日のインターバルを置き、10日からは本拠地・京セラドーム大阪でソフトバンク2連戦、間髪入れず12日から敵地で楽天2連戦に臨む。他球団にとってはやはり最大級の脅威だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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