奪三振率は松井裕樹超えの14.54 急速落下の魔球操るオリ2年目右腕の投球術
7月末に支配下登録、16試合に登板して防御率1.04
9月第3週の「Monday パ」は、奪三振を特集。7月末に支配下登録をつかみ、彗星のごとく1軍の舞台に現れたオリックスの2年目・宇田川優希投手をピックアップする。8月3日にプロ初登板を果たすと、9月8日にはプロ初勝利もマーク。力強い直球と鋭く落ちるフォークを武器に、ここまで16試合に登板し、防御率1.04の好成績を残している。(数字は19日時点)
高い奪三振能力も宇田川の魅力の一つ。9イニング平均で奪う三振数を表す“奪三振率”は驚異の14.54を示し、楽天の守護神・松井裕樹投手の14.50をわずかに上回る。もちろんイニング数や投げる場面でのプレッシャーは、松井裕と同じ土俵では比べられない。しかし今季中盤まで背番号が3桁だった若き投手が、優勝争いを繰り広げるチームの勝ちパターンの一角として残している数字だとすれば、その凄さは伝わるはずだろう。
そんな宇田川の投球をデータで見ていこう。持ち球は主にストレート、フォーク、スライダーの3つ。特に最速150キロ台後半の直球は投球の半数以上を占めており、いわゆる“本格派右腕”と言えるだろう。三振を奪った“ウイニングショット”に絞って見ると、ストレートとフォークのわずか2種類になる。中でもここまで28奪三振のうち、6割に迫る16個はフォーク。力強い速球に振り遅れまいとすると、ストンと落ちるフォークボールに空振りしてしまうのだ。
その投球は球界を代表する打者にも通用する。プロ初勝利を挙げた9月8日の西武戦では、森友哉捕手、山川穂高内野手ら主軸から3者連続三振。打者8人に対して5奪三振をマークするなど、その名を一気に轟かせた。
白星はこの1勝のみだが、チームも宇田川が登板するようになった8月以降、一気に首位争いへ名乗りを挙げ、いまや首位と「0」差で連覇も現実味を帯びている。宇田川の“勝利を呼び込む”力強い投球に注目だ。