世界制覇へ侍J栗山監督を支える“キーマン” 元捕手2人を入閣させた理由とは

会見に臨んだ侍ジャパン・栗山英樹監督【写真:荒川祐史】
会見に臨んだ侍ジャパン・栗山英樹監督【写真:荒川祐史】

村田善則氏がバッテリーコーチ、鶴岡慎也氏がチームスタッフに加わった

 栗山英樹監督が率いる野球日本代表「侍ジャパン」は来年3月の第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)へ向けて、今年11月に日本ハム、巨人、オーストラリアと強化試合「侍ジャパンシリーズ 2022」を行う。10月4日には出場メンバー28人とともに、巨人・村田善則ブルペンコーチがバッテリーコーチに就任することが発表された。日本ハムなどで捕手として活躍し昨季限りで引退した鶴岡慎也氏も、チームスタッフとして侍の一員となる。“栗山体制”の骨格が整ってきた。

 侍ジャパンのコーチ陣は、既に活動を始めていた白井一幸ヘッドコーチ、吉村禎章打撃コーチ、清水雅治外野守備・走塁コーチ、吉井理人投手コーチに加え、新たに村田バッテリーコーチが加入。栗山監督は「勝ち抜くためには、投手陣を機能させることが絶対条件なので、善ちゃん(村田コーチ)を置いてブルペンに厚みを持たせたい」と説明した。さらに「スコアラー的な仕事の手伝いもやってもらおうと考えている。データ処理では、アナリスト(分析担当)を置いて特長を出したい」とも付け加えた。

 というのも侍ジャパンでは、長年巨人でスコアラーを務めた三井康浩氏が2009年の第2回WBCでチーフスコアラーとして他国の分析に手腕を発揮し、大会連覇に導いたのをはじめ、スコアラーを中心としたデータ分析力を強みにしてきた。村田コーチには、巨人でスコアラー、コーチ、侍ジャパンでもスコアラーや、2017年第4回WBCと2019年プレミア12のバッテリーコーチを歴任した豊富な経験がある。

 最近はトラッキングシステムの導入などで、より科学的なデータの収集が可能となり、従来のスコアラーの他に「アナリスト」を置く球団も増えた。侍ジャパンとしても、村田コーチをキーマンに最強の“分析部隊”を作り上げるつもりなのだろう。

 昨年まで日本ハムでバッテリーコーチ兼任現役捕手だった鶴岡氏について、栗山監督は「肩書はまだわからないが、ブルペンに入って、まずは(投球を)しっかり捕ってもらおうと思っている」と明かした。「WBCには球数制限あるので、真ん中(中継ぎ)をどうつないでいくのかが重要なポイントになる。後ろ(クローザー)も、絶対的な形をつくった方がいいのか、相手によって変えるのか、考えないといけない」と語る。鶴岡氏がブルペン捕手を務めながら各投手の調子を把握し、村田コーチらと連係しながらベンチとの橋渡し役をこなすことで、効果的な継投が可能になると考えているようだ。

「コーチの枠は、人数的にまだ増やせる。3月へ向けてプラスアルファをお願いしている。勝つためにどういう形がいいのか、最後まで探っていきたい」とも明かした。3大会ぶりの世界制覇の鍵を握るのは、選手だけではない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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