“甲斐キャノン”は逸れても1秒77の驚愕タイム 二盗阻止タイムのTOP5は?

ロッテ・松川虎生(左)とソフトバンク・甲斐拓也【写真:荒川祐史、藤浦一都】
ロッテ・松川虎生(左)とソフトバンク・甲斐拓也【写真:荒川祐史、藤浦一都】

2塁盗塁を阻止する最後の決め手、捕手のポップタイムを計測

 投球モーションが起きるやいなや、一塁走者がスタートを切る。投球がミットに収まると、捕手は矢のような送球をする。一連の動作をすべて合わせても、わずか3秒少々で結果が出てしまう二塁盗塁。投手のクイックモーションのタイムが取り沙汰される機会が増えたが、最終的に決め手となるのは、やはり捕手からの二塁送球である。ここでは今季の対象TOP5を紹介する。

 5位はロッテの新人にして、佐々木朗希投手とのバッテリーで4月10日には完全試合達成をアシストした松川虎生捕手。1秒83のタイムは、プロの1軍レベルどころかトップレベルの水準である。しかも、2塁ベース直上にコントロールされた完璧な送球には、明るい未来しかみえてこない。4位は1秒82で西武の森友哉捕手が入った。昨年のランキングでは1秒78を記録している。

 1秒80という好タイムで3位を記録したのはプロ8年目の30歳、楽天の田中貴也捕手だった。体ギリギリまで引きつけ、捕球すると同時に体幹を軸にしてコンパクトに体を回して送球するフォームが美しい。また、投球の途中から早くも足のステップの予備動作を開始していることで動作がスムーズになり、素早く送球することができる。全国の捕手のお手本となるようなスローイングだった。2位はプロ3年目のロッテ・佐藤都志也選手で1秒78だった。

 やはり1位は“甲斐キャノン”と呼ばれるソフトバンクの甲斐拓也捕手で、タイムは1秒77だった。単に盗塁を防ぐだけではなく、投手陣が「後顧の憂い」なく打者との勝負に専念できる環境を作るという点においても、貢献度は大きい。ただ、この1秒77を記録した送球は、映像を見てもわかるようにやや一塁側へ逸れている。甲斐の二塁送球といえば「捕ってから投げるまでが素早い」「送球も強くて高速」「二塁ベースのすぐ上あたりのタッチしやすいところへ投げられる制球力がある」の3拍子が土台になっていたはず。それが少し揺らいできたのか。タイムもトップを死守しているが、ここからもうひとつ高いレベルにジャンプアップして、さらなる領域を目指してほしい。

 また番外編として次世代の若手捕手4人のタイムを紹介する。楽天のドラフト2位・安田悠真捕手は2秒00だが、ショートバウンドの投球を体の正面で両ヒザをついてブロッキングしてからの送球だったことを考慮すると、なかなかすごい。ロッテ・上田翔太選手も1秒90だが、ショートバウンドの投球を処理してからの送球のため、多少なりともタイムロスはあったと思われる。逆シングルからうまく捕球して送球につなげており、捕手としての身のこなしの秀逸さを感じさせる。真上から投げ下ろすような力強いスローイングが特徴だ。日本ハムの田宮裕涼捕手は1秒89で、ソフトバンクの石塚総一郎捕手は育成選手ながら1秒82という1軍顔負けのポップタイムだった。

【実際の映像】逸れても1秒77の驚愕タイム 絶対王者の“甲斐キャノン”

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