全国では無名の高校生にも“ドラ1”公表の理由 例年とは異なる各球団の思惑とは

苫小牧中央・斉藤優汰、誉のイヒネ・イツア【写真:苫小牧中央高校提供、間淳】
苫小牧中央・斉藤優汰、誉のイヒネ・イツア【写真:苫小牧中央高校提供、間淳】

ソフトバンクはイヒネ・イツア内野手、広島は斉藤優汰投手という素材型の指名を公言

 20日に迫ったドラフト会議を前に各球団のドラフト1位の公表が続いている。“ドラ1公表”は今年に始まったことではない。昨年も西武は隅田知一郎投手(抽選で西武が交渉権獲得)、ソフトバンクは風間球打投手と公表。毎年行われているが、狙いはその都度違う。他球団へのけん制、競合の数を減らす、選手や所属チームへの敬意などが挙げられるが、今年はそこに「地域性」と「ウエーバー順」が関係している。

 実力を兼ね備え、甲子園を沸かせたスターなどは重複になる可能性は高い。そのため、競合必至の選手の公表の場合は、抽選に参加する球団を減らすという思惑がある。リスクを恐れる球団が手を引くからだ。最近は12球団OKの姿勢が増えたが、以前は「○○(球団名)なら社会人に」などという指名拒否もあったため、早くから球団の誠意を示すことが、交渉成立につながるという見立てもあった。

 今年は全国的には“無名”の高校生の名前が公表されている。ソフトバンクは誉高(愛知)のイヒネ・イツア内野手の指名を公言。永井智浩編成育成本部長は身長184センチの上背を誇る大型の遊撃手について「スカウトの中での評価が一番高い選手。スケールがすごく大きいので、今までにない遊撃手」と評価していた。広島は苫小牧中央高(北海道)の最速151キロ右腕・斉藤優汰投手の1位指名を公表した。ともに甲子園出場はないが、県内、道内の野球界では名前の知られる存在だった。

 もちろん、両チームとも即戦力とは考えていない。近年のドラフトを踏まえながら、チーム全体の強化ポイントを見渡した時に“5年後のバランス”を見た形となる。ソフトバンクの遊撃手である今宮は31歳。広島も近年は即戦力投手をドラフトで獲得しており、22、23歳になった頃には両選手ともチームの主軸になっているだろう。「素材型」選手としての期待の獲得だ。

 ただ公表しなくても、両選手は競合せずに指名できたのではないか――。そんな疑問も浮かんでくる。それでも公表したのには「2位では取れない」と判断した背景がある。ここにウエーバー順と地域性が関係してくる。

2位以下のウエーバー順はパの下位球団からの指名に

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