なぜ2軍に投手コーチ4人も配置? 渡辺GMが明かす新生・西武“組閣”の狙い

内海哲也氏がファームで投手コーチ専任となる【写真:荒川祐史】
内海哲也氏がファームで投手コーチ専任となる【写真:荒川祐史】

コーチング、コミュニケーションなどを専門家から学ぶ

 西武の松井稼頭央新監督が18日、就任会見で目指すべきチーム姿などを語った。現役最終年の2018年に選手兼テクニカルコーチを務めたのを皮切りに、2軍監督、1軍ヘッドコーチを歴任し、満を持してのトップ就任。渡辺久信GMは「ウチは今、指導者教育に力を入れている。ファーム時代からコーチング、コミュニケーションの取り方などを座学を含めて勉強してもらい、そういう人たちが2軍コーチとなり、やがて1軍の指導者になっている」とうなずく。

 再び黄金時代を築くためには、まずファームの指導者育成から──。渡辺GMは「1軍は時間的に難しいが、ファームの監督、コーチには比較的時間があるので、外部のスペシャリストを招き、みっちり勉強してもらっている」と説明する。来季のコーチングスタッフも発表され、現役を引退したばかりの内海哲也投手がファーム投手コーチ、今季まで西武一筋に12年間活躍した熊代聖人外野手が2軍外野守備・走塁コーチとして新たに加わる。

「内海は想像していた通り、凄く真面目に野球に取り組み、準備を怠らず、若い選手の見本になってくれた。第2、第3の内海を育ててほしい」と渡辺GM。2018年オフに、炭谷銀仁朗捕手のFA移籍に伴う人的補償として獲得した時点で、指導者として残すことは想定内だった。熊代コーチについても「今季もある程度1軍の戦力になっていたとは思うが、彼には現役引退後の勉強をどんどんやっていってほしいと考えた」と早くから指導者としての適性を見出していた。

 来季に向けた“組閣”では、ファームの投手担当が4人に上る(清川栄治投手総合コーチ、長田秀一郎投手コーチ、内海投手コーチ、大石達也投手コーチ)ことも特徴的である。渡辺GMは「8つの目で投手の育成に力を入れていきたい」と説明。西武は昨季まで4年連続リーグワーストだった1軍のチーム防御率が、今季リーグトップの2.75へ劇的に改善された。渡辺GMは「なんだかんだ言っても、野球は投手。優勝するチームは大抵投手力が優れている。チーム防御率はトップになったけれど、まだまだこれからです」とこの流れを加速させていく考えだ。

 さらに「3軍バッテリーコーチ兼ブルペン捕手」と「3軍守備コーチ」のポストが新設され、それぞれ荒川雄太氏と鬼崎裕司氏が就任した。「選手、スタッフの人数的に、まだ(試合などの)活動はできないが、3軍を置いて選手を育てていきたい」と渡辺GM。育成選手を増やし、選手層を厚くしていく考えなのだろう。FAで主力選手を他球団に多数引き抜かれながら、その都度抜群の育成力を発揮し、優勝争いをできるチームをつくってきた西武。ファームの指導者育成と3軍創設で、強みをさらに特化させていくことになりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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