難病で体重10キロ激減「球の投げ方を忘れていた」 166cm男が抱く熱い思い

中日から6位指名を受けた亜細亜大・田中幹也(中央)【写真:宮脇広久】
中日から6位指名を受けた亜細亜大・田中幹也(中央)【写真:宮脇広久】

166センチの令和の牛若丸「入団すればドラフト順位は関係ない」

 身長166センチの小柄ながら、遊撃守備で見せる切れ味抜群のフットワークと50メートル5秒9の俊足で「忍者」、「令和の牛若丸」の異名を取る男。亜大の田中幹也内野手はドラフト上位指名も予想されていたが、意外に長く待たされ、中日から6位指名を受けた。「大学生のショート、セカンドがたくさん指名された中で自分は残されていたので、正直言って悔しかった。入団すれば順位は関係ないと思うので、見返してやりたいです」と、負けず嫌いな一面をうかがわせる。実際、田中がこれまでに跳ね返してきたハンデに比べれば、ドラフト順位など物の数にも入らないかもしれない。

 2度も“前振り”があった。亜大硬式野球部の3、4年生部員と一緒にドラフト中継に見入っていた田中。巨人の3位指名で「田中……」と読み上げられた時には、チームメートたちが「わっ」と歓声を上げたが、「……千晴。投手。国学院大学」と続き、一同がっくり。ロッテ3位で日本文理高の田中晴也投手が指名された時も同様だった。

「巨人の時に『来た!』と思いました。ロッテの時には今度こそはと思ったので、ショックでした」と打ち明ける。「中日に指名したいただいた時、『田中……』の段階では疑いもあったのですが、『幹也』と読み上げていただいて、本当にうれしかったです。仲間も自分のこと以上に喜んでくれました」と感慨深げだ。

 今季のNPB選手に当てはめると、西武・滝澤夏央内野手の164センチに次いで身長が低いことになる。「正直言って小柄はデメリットかもしれませんが、自分の持ち味である小回りの利くプレーは、体の大きい人にはできないと思っています」と臆するところはない。

大学3年夏の難病で体重64キロ→54キロ激減も……

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