キャンプ期間と重なる国家試験「受けたい」 京大医学部右腕が続ける“自分研究”

ソフトバンクから育成7位で指名された京大医学部の水口創太【写真:山口真司】
ソフトバンクから育成7位で指名された京大医学部の水口創太【写真:山口真司】

ソフトバンクから育成7位で指名された水口創太「自分の体で研究しながら試行錯誤」

 ソフトバンクから育成7位で指名された京大医学部の水口創太投手は、野球と研究の二刀流に挑戦している。このままプロ入りを決めてもそれは変わらない。なにしろ、研究材料のひとつがなんと自分自身だからだ。たとえば194センチの長身から投げ込むMAX152キロのストレートの球速も、その研究成果で、まだまだ進化させることができる、と考えている。理学療法士の国家資格取得も目指している男の思考回路はとにかく奥深い。

 京大からのドラフト指名は8年ぶり2人目、医学部からは初めての快挙に水口は「そこを目標に4年間、やってきたので、指名されたのは本当にうれしいです」と笑みをこぼした。ドラフト前は支配下での指名でなければプロ入りしない意向を表明していたが、4軍制を新たに敷くなどソフトバンクが育成に力を入れていることもあり「行くか、行かないかは半々です」と変化。「時間はかかるかもしれないけど、球界を代表するような投手になりたいと思っています」と前向きな言葉さえも口にした。

 そんな水口が早速、継続を示したのが自分研究だ。医学部人間健康学科で理学療法学を専攻。卒論のテーマは「ある程度は決まっています。投球障害関係です。肩、肘の故障に関することをやりたいと思っています」と言い、野球は勉学においても離れることはない。その研究のひとつが、MAX152キロからの球速アップ計画。「もっといきたいです。160キロは出したい? もちろん、あります、それは」ときっぱりだ。

「目標の数字は決めず、160とかに設定せずに、自分の体でいけるところまでいきたい」と付け加えたが、そう言えるのも、この先、球速がアップしそうな感覚が実際にあるからだった。「フォームとか、フィジカル面でもまだまだ成長できる面があると思うので、これからどんどん伸ばしていきたい。そういう論文をけっこう読んだりするんで、生かせることはすごくあると思います」。

 体の使い方で球速も変わると考えているし「自分の体で研究しながら、試行錯誤しています。そういうところは自分の武器のひとつかなと思っている」とも。まさに日々、研究だ。とはいえ、野球との両立は決して簡単なことではないはずだが「自分で理解して練習するっていうのが好きなので」と全く苦にしていない。知識の吸収と技術の習得。それがさらなる進化につながるということ。その成果を水口自身が誰よりも楽しみにしているのだ。

 来年2月に理学療法士の国家資格を取得するための試験がある。プロ入りすればキャンプ期間にぶつかるが、そのための勉強もしてきた水口は、これに関しても「受けられるのであれば、受けたい」と希望している。野球と研究の二刀流。それもハイクラスな……。元ソフトバンクでもある京大・近田怜王監督は「まだまだ伸びる、伸びしろたっぷりのピッチャーと思っている」という。すべての面での本領発揮もこれからなのかもしれない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

RECOMMEND

CATEGORY