日本ハムの“制球王”加藤貴之に退団・武田勝が贈る言葉「まだ認めないよ。あいつは」

日本ハム・武田勝コーチ(左)、加藤貴之【写真:荒川祐史】
日本ハム・武田勝コーチ(左)、加藤貴之【写真:荒川祐史】

日本ハムに現れた“制球王”には先達がいた

 日本ハムの左腕・加藤貴之投手が素晴らしい成績でシーズンを終えた。22試合で8勝7敗、防御率2.01という成績を支えていたのが、四球を出さない能力だ。規定投球回(=チーム試合数)に到達する147回2/3を投げてわずか11四球は、プロ野球新記録。これまでは1950年の野口二郎(阪急)の14が最少だった。スタンドには“制球王”という応援ボードが揺れた。

 同じチームには、このジャンルの“先達”ともいえる存在がいる。武田勝投手コーチだ。直球のスピードは加藤以上になく、常時130キロ前後。それでも通算82勝を挙げた。2009年から2011年にかけては、3年連続で与四球がパ・リーグ最少だった。

 この2人、とにかく姿がダブって見えるのだ。四球の少なさだけではない。ベンチからの信頼をなかなか得られなかったところや、打線の援護を得られないのも一緒。さらに、この3年間はコーチと選手という関係だった。加藤の“進化の過程”について、武田コーチを直撃すると「これを5、6年続けてから一人前と言おうかな。まだ認めないよ。あいつは」とニヤリ。さらに続けた。

「今までの経験がやっと形になって、花が咲いた。我慢してくれる環境を作ってくれたのを本人も意気に感じて、表現できるようになったのかな。ちょっと時間はかかりましたけどね」

 2016年に日本ハムに入団した加藤は今季が7年目。2020年まではなかなか投球イニングを伸ばせない、いや伸ばすチャンスを与えられない投手だった。2019年には日本ハムが多用した「オープナー」戦術の主要メンバーとして、先発しても打者一回りと対戦したところで降板という起用が続いた。

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