念願の支配下も…容赦なく3か月で戦力外 “育成上がり”たちが直面した厳しい現実

今季リミットぎりぎりに支配下昇格を掴んだが戦力外になった選手たちが多くいる【写真:荒川祐史、宮脇広久】
今季リミットぎりぎりに支配下昇格を掴んだが戦力外になった選手たちが多くいる【写真:荒川祐史、宮脇広久】

7か月で支配下復帰→3か月で戦力外→現役引退のケースも

 3桁の背番号から支配下を勝ち取り、1軍の主力に駆け上がる選手は確かにいる。千賀滉大投手(ソフトバンク)ら大成功例もあるが、決して容易くはない「育成ドリーム」。今季、7月末のリミットぎりぎりに支配下昇格を掴みながら、シーズンオフには戦力外になった選手も。わずか3か月ほどでの“乱高下”は、プロ野球の厳しさを映し出す。

 来季から4軍制をとるソフトバンクには、多くの育成選手が所属する。選手層の厚い1軍を目指して研鑽を積むが、たとえ2桁の背番号を手に入れても、バラ色のプロ野球生活が待っているわけではない。

 2015年ドラフト5位の黒瀬健太内野手は、2018年限りで戦力外となって育成契約に。高卒7年目の今季は2軍でアピールを続け、期限が迫る7月28日に支配下に復帰した。念願の1軍デビューを果たしたが、7試合出場で打率.167と結果を残せず、10月下旬に戦力外となった。チームでは、2020年育成ドラフト8位の中村亮太投手も今年7月に支配下選手となったが、1軍では2試合で防御率33.75。再び育成として出直しとなった。

 他球団でも、支配下からすぐに戦力外となった選手はいる。育成として今季巨人に加入した勝俣翔貴内野手は打力をアピールして7月28日に背番号005から92へ。ただ、1軍での出場機会は得られないまま、2年連続の戦力外となった。2012年のロッテドラフト1位・松永昂大投手は2021年12月に育成となり再出発、今季すぐさま7月に支配下復帰して慣れ親しんだ背番号28に戻ったが、登板がないまま戦力外となり、現役引退となった。

 鮮やかにNPBへ舞い戻った右腕にも、厳しい現実が待っていた。2019年限りで日本ハムを戦力外となった中村勝投手は、豪州やメキシコを経て今年3月に育成でオリックスに入団。7月に支配下登録されたが、3登板で0勝1敗、防御率8.53とリーグ連覇に貢献できず、戦力外となった。

 弱肉強食のプロ世界では、すぐに見限られることも少なくない。特にシーズン中の支配下契約は、終盤の戦力になると見越してこそ。結果が出なければ、すぐに淘汰される。支配下はあくまでスタートラインという現実を思い知らされるオフとなっている。

(Full-Count編集部)

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