西武は外野全てが“穴”、ハムはさらなる試練も…打撃指標で見るパ球団の泣き所

西武のブライアン・オグレディ(左)と日本ハムの近藤健介【写真:荒川祐史】
西武のブライアン・オグレディ(左)と日本ハムの近藤健介【写真:荒川祐史】

日本ハムは全体でみると「-47.2」…1位ソフトバンクと100以上の差

 トライアウトも終わり、来季に向けて各球団がすでにスタートを切っている。秋季キャンプやトレーニングで現有戦力の底上げを図る一方で、穴を埋める補強も着々と進んでいる。今季のパ・リーグ6球団の弱点はどこだったのか。投手を除いた各球団の“弱み”をセイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータで検証する。

 ここでは、リーグの平均的な打者に比べてどれだけチームの得点を増減させたかを示す指標「wRAA」を用いた。この指標では、平均的な打者は「0」になり、優れた打者は正の値が大きくなる。ポジションごとに見てみよう。

 ロッテと西武は3ポジションでリーグ最下位と“弱み”の多い球団と言えるだろう。西武は、左翼が「-1.0」、中堅が「-8.4」、右翼が「-19.0」と外野3部門がワーストだった。即戦力と言われる早大・蛭間拓哉外野手をドラフト1位で指名したのも納得がいく。日本ハムから海外FAを宣言した近藤健介外野手も、のどから手が出るほど欲しいだろう。

 ロッテは、捕手が「-25.9」、遊撃が「-20.5」、指名打者が「-20.9」でワーストだった。捕手は高卒ドラフト1位の松川虎生が開幕戦でスタメンマスクを被り、4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)では佐々木朗希投手の完全試合をリード。7月のオールスターに選出されるなどしたが、打撃では打率.173、0本塁打、14打点と課題が残った。また、今季はブラントン・レアード内野手が打率.189、9本塁打と大不振。指名打者が大きくマイナス指標となる原因となった。

 9年ぶりの最下位に沈んだ日本ハムは、この数値で見るとリーグワーストのポジションはなかった。しかし、全ポジションを合計すると「-47.2」で最下位。5位、西武の「-36.5」とは約10差、1位ソフトバンクの「60.9」とは100以上の差がついた。大きくプラスだったのは、近藤と首位打者の松本剛外野手が主に守った中堅、左翼のみ。近藤もFAで流出する可能性がある。すでに3件のトレードを成立させるなど、巻き返しを図っているが、さらなる補強が必要になってくるだろう。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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