エンゼルスは「遅れていた」 育成に投資せず…米メディア「マイナーは最悪の状態」
エンゼルスのマイナーは、ここ10年にわたって球界屈指の不作が続いている
エンゼルスはなぜ勝てないのか――。地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」のジェフ・フレッチャー記者は、その原因として選手育成システムの崩壊を指摘している。元エンゼルスのマイナーリーガーたちが「(指導の)継続性とテクノロジーの欠如で、ファーム制度全体が置き去りにされた」と証言している。
エンゼルスのマイナー組織は、ここ10年にわたって球界屈指の不作が続いている。MLB公式サイトのランキングでも下位に沈み、選手を育成できていないのが現状だ。記事によると、元エンゼルス幹部は「アート・モレノ球団オーナーがファームに必要な資金を投入することに消極的だったことが問題の根源にある」と話したという。モレノ氏が投資を怠ったことで起こった問題は「指導の継続性」と「ローテク」だ。
エンゼルスの指導者への報酬は、業界の中では最低の部類だったとされ、監督やコーチが毎年のように交代した。2008年から2016年まで、マイナーリーグで監督や打撃コーチを務めていたブレントン・デルキアイロ氏は「自分のやり方が気に入ってもらえているのか、それともただクビをつなぐために仕事をしているのかが分からなくなった」と明かしている。情報筋によると、ペリー・ミナシアンGMが就任して以降、この状況はかなり改善したという。
テクノロジーの遅れはさらに深刻だ。2017年に加入した選手は「エンゼルス傘下は、かなり古いシステムをそのまま使っていた」と振り返っている。当時チームが使っていたビデオシステムが“ひどかった”ため、自身がドジャース時代に使っていたものを持ち込んだという。他のマイナーリーガーも「アストロズが3年は先を行っていた」「相手チームは、私がどこに打つかを、私以上にわかっていた」と当時の状況を証言している。
さらに、2016年にビリー・エプラー氏(現メッツGM)がGMに就任してからは一転、結果より過程を重視するデータに基づいて評価されるようになったことも紹介している。「僕らは勝つことにこだわらなくなり、それよりもいい選手になることを重視するようになった。勝利を目指す文化が育っていなかったマイナーから、勝つことを重視するメジャーに上がることになってしまう、そこが大きな問題だった」と、本末転倒になってしまったと明かす選手もいる。
今年8月にモレノ氏が球団売却を検討していることを発表したエンゼルス。大谷翔平投手、マイク・トラウト外野手らスター選手を擁しながら、8年連続でポストシーズン進出を逃している。新しい時代では、選手育成システムを改善し、常勝軍団を作っていけるのか注目が集まる。
(Full-Count編集部)