止まらぬ日本ハムからのFA流出 「卒業」は過去の話、後釜不在で開く“大穴”
中田翔や中島卓也の定位置奪取はFA流出がきっかけ…今度は誰が?
2013年オフには、110試合に出場していた鶴岡慎也捕手がソフトバンクへ移籍した。ただ大野奨太捕手が84試合に出場しており、両者はほぼ“併用”といえる状況だった。翌年は大野が104試合に出場、巨人から獲得した市川友也捕手も69試合に出場した。
小谷野栄一、大引啓次と内野手が2人流出したのが2014年のオフ。大引は遊撃で122試合に出場していたが、すでに二塁手として1軍デビューしていた中島卓也を遊撃にコンバートするのは「既定路線」だった。かつて好守で鳴らした小谷野も、このシーズン三塁を守ったのは59試合だけ。翌年は新外国人のブランドン・レアードが三塁を142試合守り、遊撃は中島が143試合守った。2016年に日本一となるチームが形作られた時期だ。
その2016年オフには、陽岱鋼外野手が巨人へ移籍。FA会見では涙を流し、愛着のあるチームとの別れを惜しんだ。陽はこの年、130試合で打率.293、14本塁打。117試合守った外野ではゴールデングラブ賞を獲得と代えの効かない戦力に映った。ところが翌年は左翼手だった西川遥輝を中堅へ回し、巨人からトレード獲得した大田泰示が外野を102試合守り穴を埋めた。一方で巨人での陽は87試合出場にとどまった。
移籍が決まった近藤は今季、脇腹を痛めての戦線離脱がありながら99試合で打率.302、8本塁打。6年連続で4割越えという出塁率に至っては、球界全体を見ても代替選手がいないレベルだ。そして今季の日本ハムには、100試合以上外野を守った選手がいなかった。
11年目にして首位打者となった松本剛外野手は、膝の負傷が癒えれば定位置奪取の可能性は高いだろうが、他は14本塁打した万波中正外野手、10本塁打の今川優馬外野手は確実性に乏しく、快足で注目された五十幡亮汰外野手も今季は怪我に泣いた。ドラフト1位で指名した矢澤宏太投手(日体大)の外野起用や、阪神からトレード移籍した江越大賀外野手の起用も考えられる。かつてのように“準備されたFA流出”が望めない今、誰かの爆発的成長がなければ上位進出はおぼつかない。
(Full-Count編集部)