怒りに震えた指揮官「どういう神経してるんや」 ベンチの扇風機破壊招いた“口ごたえ”
星野中日で内野守備コーチを務めた立石充男氏、振り返る闘将との思い出
元南海で内野のユーティリティプレーヤーとして活躍した立石充男氏は1986年の現役引退後、ダイエー、近鉄、阪神など多くの球団でコーチを務めた。選手育成能力に長けた辣腕指導者として知られ、一つの球団の仕事が終われば、また別の球団から声が掛かる流れが続いた。1996年から2年間は中日・星野仙一監督の下で1軍内野守備コーチだったが、その時、ちょっとした“事件”が……。有名な闘将の扇風機破壊シーン。これに大きく関わっていたのだ。
南海時代の指揮官である野村克也氏にいろんなことを教わった立石氏だが、星野監督にもかわいがられたし、鍛えられた。「試合後のコーチミーティングでは、最初に『タテー、今日の試合、どないなっとるんや』から始まりました。それに『何何で明日からこうやっていきますから』って、とにかくさっと答えなければいけない。どのコーチもそうですけど、監督に聞かれて言葉に詰まっていたら『何を見とったんや』って言われるんです」。
もっとも「僕は詰まったことは全然なかった」という。それどころか「星野監督が『ああ』とか、言葉に詰まったら、助けましたね。例えば、あっ、6回の何何ですねって感じでね」。立石氏も、それこそ闘将に負けないくらいの熱血漢。緊迫ムードが漂う中、まさに堂々たる振る舞いだったようだが、その熱い性格がある意味、これも伝説の、語り継がれるシーンを呼び起こしたことがある。それが、闘将の“扇風機破壊事件”だ。
1軍本拠地としてのナゴヤ球場ラストイヤーの1996年。それは起きた。立石氏は一塁ベースコーチを務めていた。「1死一塁で一塁ランナーは(当時)新人の益田(大介)。ランエンドヒットで、3ボール2ストライク。立浪(和義)がセンター前ヒットを打ったんで、和義、ナイスバッティングってやっていたんです」。すると一塁ベンチからものすごい怒声が聞こえてきた。「星野さんが指をさしながら『タテ! どないなっとるんや!』って怒鳴っていたんです」。