「この金額か自由契約か選んでくれ」 理解した事実上の戦力外…迷わなかった退団

オリックス、ヤクルトなどで活躍した坂口智隆氏【写真:中戸川知世】
オリックス、ヤクルトなどで活躍した坂口智隆氏【写真:中戸川知世】

2015年9月、球団からの呼び出し「この金額か自由契約を選んでくれ」

 2015年は開幕スタメンを勝ち取ったが、5月に出場登録を抹消されると、そのまま1軍復帰を果たせないまま夏を迎えた。9月上旬、神戸にある2軍施設で練習を続けていると「話がある」と突然、球団から呼び出しをくらった。

「なんやろう? って感じでした。クビになるにしても時期的に早い。下交渉の話かなと思って向かった記憶があります」

 部屋に入ると球団幹部が揃っており、当時の年俸7500万円から野球協約上の減額制限を超える大減俸を提示された。「この金額か自由契約か選んでくれ」。数分の話し合いの中で、4年連続ゴールデングラブ賞や最多安打など、築き上げてきた功績は称えられたが、事実上の戦力外だった。

 提示された金額の意味合いは分かっていた。「今までありがとうございました」。その場で、坂口氏は迷うことなく自由契約を選択。部屋を出ると、その日のうちにロッカーを整理し球場を後にした。

「僕のなかでは金額じゃない。勝負できる環境があるか、必要とされているかされてないかが大事。もう1回、勝負したかった。もちろん球団への感謝はありました。ダラダラいってこのままの気持ちでは野球ができない」

 10月1日、球団から退団が発表された。近鉄を含め“バファローズ”で過ごした13年間に自ら終止符を打った。「自分を獲ってくれる球団はあるのか」。期待と不安を抱えながらオフシーズンに入っていった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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