球界を揺るがした「合併球団」1期生の“数奇な運命” 薄れる「球界再編」の記憶
金子千尋がドラフト指名された2004年、球界は再編の嵐
日本ハムの金子千尋投手が23日、現役引退を発表した。戦力外通告を受けてからも現役続行を目指しトレーニングを続けてきたが、他球団から声がかからなかったことで決断した。2005年から18年間の現役生活を送ったことになる。そして金子の引退によって、2004年の「球界再編騒動」の結果生まれた「オリックス・バファローズ」の初年度に在籍した選手は、全員NPBから姿を消した。
金子は2004年11月17日に行われたドラフト会議で、オリックスの1巡目指名を受けて入団した。この段階でオリックス・ブルーウェーブと近鉄バファローズが合併することは決まっていた。
札幌市内で行われた引退会見で「僕を獲ってくれたオリックス球団には感謝しています。怪我をしているのに獲っていただき、1年目は1軍で投げることもできなかった。本当に申し訳なく思っています。成績が出ない中でも使っていただいた監督、コーチには本当に感謝しています」と話していたが、最初に仕えた監督は近鉄いてまえ打線を率い、オリックスを日本一に導いた名将・仰木彬氏だった。
オリックスで2010年、2014年と2度の最多勝、さらに2014年には最優秀防御率とリーグMVP。沢村賞まで獲得する大投手となった。ただ2018年のオフに減額制限を大幅に超える年俸提示を受け、自由契約となり日本ハムへ。現役最後の4年間を過ごした。通算130勝をあげたものの、ついに優勝とは縁がないままユニホームを脱いだ。