12球団屈指の“奪三振マシン”は掘り出し物? 能力は湯浅級も放出…新天地つかむか

ロッテを自由契約となったタイロン・ゲレーロ【写真:荒川祐史】
ロッテを自由契約となったタイロン・ゲレーロ【写真:荒川祐史】

ゲレーロは佐々木朗希の継ぐ平均球速記録も…ロッテを自由契約に

 年末となり、各球団が続々と来季の新外国人選手を発表している。中には巨人からロッテ入りするCC・メルセデス投手や、中日から日本ハムへ移るアリエル・マルティネス捕手のように、日本での成績が評価され新天地が決まることもある。日本球界をすでに知っているのは、活躍する上で大きな武器。ここではすでに自由契約となった選手の中から、まだ活躍が期待できる成績を残した選手をチェックしてみたい。

 今回取り上げるのは、ロッテで1年プレーしたタイロン・ゲレーロ投手だ。今季は49試合に投げ3勝3敗3セーブ、24ホールドで防御率3.52。ただ野球を統計の観点から見るセイバーメトリクスを通してみると、高い存在価値が浮かび上がってくる。指標はセイバーメトリクスで分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照した。

 ゲレーロ最大の武器はストレートの球速で、今季12球団の投手の中で2番目となる平均156.7キロに達する。トップは佐々木朗希投手(ロッテ)の158.4キロに譲るものの、平良海馬投手(西武)の155.4キロや甲斐野央投手(ソフトバンク)の155.3キロを上回る。

 その球速を、奪三振にもつなげられている。全打者に対する奪三振の割合を示す「K%」は、30回以上投球した投手中7位の32.5%で、平良の33.2%、栗林良吏投手(広島)の31.9%、湯浅京己投手(阪神)の30.3%と遜色ない数字だ。

 さらに今季46回を投げて打たれた本塁打はわずか2本で、9イニング当たりの被本塁打も0.39本にしかならない。

 偶然や運の要素を排除し、与四死球、奪三振、被本塁打の「投手がコントロールできること」だけで投手を評価する指標「FIP」で見ると、ゲレーロは2.43。30回以上投げた12球団の投手中22位だ。これはソフトバンクでセットアッパーとして活躍した藤井皓哉投手の2.42とほぼ同じだ。アウトを三振で奪うという能力に関しては、12球団でも有数の能力を誇った剛腕。再び国内で雄姿を見ることはあるのだろうか。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY