若手2人で借金11、田中将大も6連敗…リーグワーストの楽天投手陣に見えた“光と影”
プロ野球記録にセーブ王と安定感を示したリリーフ陣
一方で、リーグの中でも上位の成績を残したのは中継ぎ陣だ。守護神・松井裕樹投手は3年ぶりに30セーブに乗せ、最多セーブ(32セーブ)を獲得。防御率1.92と抜群の安定感を発揮した。昨季にブレークを果たした西口直人投手も、チーム最多の61登板を記録。リーグ3位タイの34ホールドと一躍球界を代表するまでに進化した。
勝利の方程式に新たな顔ぶれも。7月末に支配下登録を受けた宮森智志投手は、キレのある直球と、高身長から繰り出すフォークが武器の新人右腕。ファーム最多の17セーブを挙げた強心臓ぶりは1軍のマウンドでも健在で、プロ野球最多記録に並ぶ“デビューから22試合連続無失点”を成し遂げた。
安楽智大投手は防御率こそ4点台と落としながらも、52登板で西口とともに地位を確立させた印象。助っ人の支えも大きく、来日6年目を迎えた宋家豪投手はチーム2位の54登板とフル回転した。
しかし終わってみればチーム防御率はリーグワースト。若手先発陣の台頭により、チーム内で競争を生み出していきたい。ファームで投手3冠を獲得した高田孝一投手や、プロ初勝利を記録した藤井聖投手ら候補は多く、活性化に期待だ。
他にも明るいニュースは多い。2018年ドラフト8位で入団した鈴木翔天投手は、怪我を乗り越え8月にプロ初勝利。1年目の西垣雅矢投手も24試合に登板し、小峯新陸投手や吉川雄大投手ら1軍を経験した若手の有望株も控えている。10月のドラフト会議では、4位まで大卒・社会人出身の投手を指名するなど即戦力確保に力を入れており、投手王国の再建が期待される。
一方で、若手の台頭のカギを握るのは輝かしい実績を持つ先輩投手陣だろう。シーズンの戦い方や投球術など、これだけ間近で学べる環境は球界トップクラス。お互いに刺激を与えながら、10年ぶりの日本一をつかみとりたい。