日本で「ぬるま湯に浸かっていた」 中南米でプレーして実感…元DeNA乙坂の壮絶な1年
元NPB助っ人らとも交流…地元の人々は「みんな心がすごく豊か」
11月は雨で試合が中止になることも多く、その分、12月はダブルヘッダー(7イニング×2試合)も増えた。1週間に計7試合が当たり前。メキシコでは場所によっては標高が高く、涼しい街もあったが、ベネズエラはどの球場も暑い。
「湿度も高く、気温も35度以上ある。本当に体力が奪われました。バス移動も、ずっと高速道路を走るわけではない。道もデコボコで時々目が覚める。警察が帯同しているので、検問所はチームバスはスルーしてくれるんですが、パンクもありますからね。幸い、バスの車内はメキシコよりも落ち着いていて、音楽をガンガンかけて大合唱という感じではなかったので良かったですけど、本当に移動は大変でした」
そんな環境で楽しみにしていたのが、選手やファン、地元の人たちとの触れ合いだった。対戦相手にはライネル・ロサリオ外野手(元広島)、ウィリン・ロサリオ内野手(元阪神)、カルロス・リベロ内野手(元ヤクルト)、ギジェルモ・モスコーソ投手(元DeNA)、ケニス・バルガス内野手(ロッテ)ら、かつて日本でプレーした助っ人たちの姿があった。チームメートには今年オリックスでプレーしたブレイビック・バレラ内野手もいた。
「チーノ(スペイン語で『中国人』の意味)」と言われることがほとんどだったけど、ビジターの試合で子どもは名前を覚えてくれて呼んでくれたりもした。日本でプレーしていた選手やコーチもいて、メジャーで大谷翔平や前田健太さんらとチームメートだった選手も話しかけてきた。こっちに来て思ったのは、みんな心がすごく豊かだということ。親切な人が多くて、グラウンドで自分の仕事をしていれば、日本のように人の目を気にしなくてもいい」。そんな環境に自然と溶け込んでいった。
日本を離れ、海外に飛び出した昨年は激動の1年だった。「日本では10年間1つのチームでやってきたけど、今年は1年間で4つのチームに所属した。メキシコでは短期間で3つのチームに行って、いろんなチームがあるなと思った。メキシコ内でもチームによって格差がある。そして、いろんな人と出会えて、いろんな野球を経験できた」。
そのメキシコでは、外国人枠(7人)の戦いもあり「危機感しかなかった。もっとレベルアップしないといけないという気持ちだった」。常に助っ人としてのプレッシャーを抱えていた。