いきなり“コケた”ルーキーたちのその後 ドラ1故障の悪循環→遠回りへて覚醒も
複数球団で新人合同自主トレがスタート、周囲から注がれる視線
新たな年を迎え、プロ野球の各球団では新人合同自主トレが始まっている。シーズン開幕に向け、キャンプからオープン戦と誰もが故障なく過ごしたいと思っているが、毎年必ず出てくる離脱者。いきなり躓いた若き才能たちは、焦りからさらなる悪循環に。一方で、遠回りしながらも花開いた成功例もある。
2022年の新人合同自主トレでは、楽天のドラフト1位・吉野創士外野手が早々に出遅れ。高卒でそもそも土台づくりに重きが置かれるルーキーイヤーだったとはいえ、1軍出場はゼロ。ファームでも48試合出場で、打率.197、1本塁打にとどまった。DeNAでもドラフト5位の深沢鳳介投手が離脱し、2軍では4試合登板だった。
過去を振り返ると、はじめの一歩でコケて苦しんだ選手もいる。2015年のドラフトで3球団競合の末にソフトバンクに入団した高橋純平投手は、新人合同自主トレで故障。1年目は1軍デビューを果たせず、2年目の2017年は1試合登板にとどまった。
球団は「絶対に無理するな」と口すっぱく言うが、特にドラフト上位の即戦力候補は周囲の視線に自然と力が入る。「いいところを見せないといけないという気持ちになってしまう」とかつて語ったドラ1もいた。いくらオフの期間に準備をしてきても、アマチュアとは全く違うプロの環境。知らず知らずのうちに、気持ちだけが先走ることは少なくない。
中日の柳裕也投手も、スタートダッシュに失敗したひとり。1年目のオープン戦で故障し、1軍では1勝止まり。2年目の2018年も故障があり、2勝に終わった。焦りを押し込め、故障に強い体づくりにも着手し、3年目の2019年に11勝を挙げてブレーク。2021年には最優秀防御率と最多奪三振の2冠を獲得した。
近年では、1年目は体づくりに専念し、2年目に飛躍する高卒選手も多い。弱肉強食の世界でアピールは必要だが、無理をして棒に振っては元も子もない。周囲から注がれる好奇な目をシャットダウンし、“大人しくしておく”のが成功への近道なのかもしれない。
(Full-Count編集部)